鈍い日差しと舞い飛ぶ小雪が織りなす冬の水曜日。祖母の三十三回忌法要が営まれ、縁者が集いました。梅のつぼみがほころび始めるこの頃にはいつも、私の音楽を目覚めさせた祖母への感謝と、家族の平穏を願う気持ちがひときわ高まります。
夕刻までに急いで渋谷に向かい、イ・スルギさんとの稽古に加わりましたが、昨日よりもワンステップ洗練された実感が得られました。どんなコンサートができるか、だんだんとイメージが具体的になってきたので、ソウルでの演奏会を年内に実現するのも夢ではありません。
稽古後は食事をすることに。昨日のランチは日本を代表する食文化である寿司を楽しんだので、今度は私が韓国料理を楽しませてもらいたいとリクエストしましたが、スルギさんは日本の韓国料理店をよく知らないとのこと。
そこで私の友人に尋ねてみたところ、渋谷近辺でお勧めできる店として代官山李南江とnabi原宿を教えてくれました。
韓国語で蝶を意味するnabiという言葉と、オーガニックというフレーズにも魅力を感じましたが、今回はエレクトーンシティからより簡単にアクセスできる代官山の李南江に行くことに。
代官山駅にほど近い洒落たビルの地階にある李南江は、韓国料理店のイメージとは違い、ムードのある創作料理の店を思わせる佇まいです。
店内は靴を脱いで上がるコーナーと、靴のまま入れるホールとに分かれています。今回は直前の予約だったこともあり、ホールのカウンターに通されました。
陰影のある照明や、燃えるような赤を基調としたインテリアは、ホットな韓国料理のイメージに通ずるものがありますが、とてもロマンチックでデートにもぴったりの雰囲気。
さて、注文はスルギさんに任せることに。韓国料理を知りつくした本場の人がチョイスすれば間違いありません。でも、スルギさんは私の好みを気にして、なかなか決められない様子。結局、私が口を挟んでベタな注文に・・・
李家キムチ。各種のキムチが華やかに盛り合わさり、見た目にも楽しめます。
旬菜ナムル盛り合わせ。
「キムチとナムルは韓国ならタダで出てくるのよ。しかもお代わり自由」とスルギさん。日本人の感覚に置き換えれば、寿司屋で「ガリ2,000円」みたいな感じでしょうかね。
サンチュサラダ。甘く煮た果物が載っています。
プルコギ。中央が山型に盛りあがった鉄鍋で野菜に火を通し、それから肉を載せてスープを加えます。これらは係がやってくれました。
肉が焼けたらハサミで食べやすいサイズに切って、サンチュに包んで頬張ります。
プルコギと聞くと、どうしても映画マイノリティリポートに出て来たプリコグを思い出してしまう私。マイノリティリポートと聞けば、シューベルトの未完成が頭に鳴り始めるので、私の頭の中ではプルコギとシューベルトが結びついて離れません
デザートは抜きにして、韓国の生姜茶を。ほんのり甘く、日本のしょうが湯を思い出します。
中国料理も韓国料理も、けっこう油を使うイメージがありますが、野菜をたっぷり食べるので、案外ヘルシーなのかもしれません。
さて、明日はいよいよディナーショー。これからもう少し稽古を重ねます。今夜はワクワクして眠れないと思います。