なにごともなく目覚められることのありがたさが身に沁みた12日の朝。しっかり朝食をとってパワーチャージしただけでは足りず、出発前にダイニングでランチを食べることに。
店に入った12時前は、まだぽつりぽつりと席が埋まっているくらいなのに、案内されたのは入口脇のいわゆる末席。ケンカ売ってるのかと一瞬ムッときたものの、席次に関して無頓着なだけだろうと思い直すことに。
店内は天井が高く、大きな窓からは見事な景色が広がり、食事の前にまずうっとり。落ち着いたカラーの内装と、オープンキッチンの活気も心地よし。
さて、メニューをじっくり眺めてみると、ビジネスにも好都合なマンスリーランチ、少量多種と女性好みしそうなコース、会食にも使えそうなコースと、ホテルダイニングならではの幅広いメニュー構成に感心。もちろん、アラカルトで軽食というパターンもOK。
今回はこの店で初めてのランチなので、店名を冠したシンフォニープリフィックスコース5,000円を注文。お飲み物はと尋ねられ、シャンパンをグラスで。
小ぶりのフルートグラスはテイスティングサイズ。シャンパンはルイロデレールながら、なぜかグラスにはアンリオのブランドネームが。機材はANAなのにCAはJALみたいな、ありえないほどの違和感は私だけ?
前菜:天然ホタテのパルマンティエサラダ仕立て プロヴァンサル風
甘みのある帆立の上に、ほくほくのジャガイモを並べて、チーズを載せてバーナーで炙ってあり、ラタトュイユのトマト味と合わさると、ピッツァのような風味にも。オリーブや松の実のソースもいい。
フォッカチャにはオリーブオイルを添えて。お代わりも積極的に運んでくれるけれど、セーブしながら。
魚料理:チホク高原ベーコンとピエドコションを詰めた鮟鱇の香草風味ロースト
第一印象は、うわ、ちっさ。でも、一口味わったら、好印象に大逆転。魚料理ながら、肉料理的な濃密感があり、ギュッと締まった美味しさが口の中でぐんぐん広がる。まるで超新星。ゴージャスなブルゴーニュワインが欲しなる。
肉料理:北海道産牛ホホ肉の十勝ワイン煮込み こだわり卵のフリット
こだわりという言葉は大嫌い。どうしてもいい意味には感じられないから。それはさておき、牛ホホも素晴らしい出来栄え。人参のグラッセに潜むほんのりエキゾチックなスパイスに遠い記憶を刺激されたり、肉の脇に添えられたリンゴの甘酸っぱさに幸せ感じたり、とろりと流れ出す黄身と戯れたり、一皿でかなり遊べる。
デセールは、ワゴンで運ばれてきて、好きなものを好きなだけ、とは言わなかったけれど、いくつまでとも言わなかった。ワゴンの上には4種のケーキと2種類のカップスイーツ。
ここまでの料理が期待を上回っていただけに、ワクワク感のない平凡なデセールにテンション急降下。先にコーヒーだけ出して、ワゴンはかなり待たされたこともマイナスポイント。
レストランでは、コーヒーはデセールよりも後に出すものであり、同時、あるいは先に出すのは、カフェや喫茶店のやり方。最近は、それを知らずに、デザートが来たのにコーヒーがまだ来ないなんて言う人もいるらしいけど。
選んだのはモンブランとカスタードプディング。どちらもレストランの味というより、ラウンジの食べ放題スイーツ的ながら、味そのものはなかなか。食べ終わるまで手をつけなかったコーヒーは、新しいものと取り替えてくれたものの、ぬるかった。
とまあ、急上昇、急降下を繰り返すタービュランスランチだったけれど、とても美味しかったし、サービスも誠実で感じよく、総合的には好印象に。また訪ねる機会が楽しみな店です。