今日がどんなコンサートなのか、ほとんど知らされないまま、上海から車に揺られて40分。到着したのは嘉定区の中高一貫校の講堂でした。中国の学校は桁違いのスケール。日本では大学でさえ、このように広い敷地を持っているところは稀だと思います。
桜の花も、強い雨に打たれて一気に散った様子。講堂内にも湿気が立ちこめ、床や壁も湿っています。早速、舞台に行ってみると、思っていたより広い空間でした。
凝った照明が組まれ、何やらセレモニーの準備も進められています。今日はいったい何のイベント?
聞くと、嘉定区の文化芸術啓蒙イベントの開幕式だとか。どうも私はその開会式に続くオープニングイベントの演奏家として招かれたらしいのです。
私のリハーサルより皆さん開会式典に神経を注いでいる様子。それもそのはず、行政の偉い人たちが集まりますので、粗相があったらたいへんなことになりますから。どうりで、私の機嫌などどうでもいいわけです。
余り時間でちょっと音だしをさせてもらって、リハーサルはおしまい。実は昨日、急遽バンドメンバーを加えてのアンサンブルが決まったのですが、それはぶっつけ本番ということになりました。
押せ押せのリハーサルでしたが、式典は予定通りに始まりました。偉い人が歩くところは、湿り気がないように丹念に拭き上げられ、緊張気味の係に先導されて一番いい場所に着席。セレモニーは滞りなく終わり、いよいよ私の演奏です。
上の写真はリハーサル時ですが、スクリーンの映像で、何を弾いているかバレバレですね。私が打ち合わせからずっとゴネていたのは、スクリーンの輝度を保つため、演奏者に照明を当てないという演出。演奏会は映画鑑賞とは違うので、演奏曲と奏者に集中できるような演出にしてほしいと何度も頼み、本番では改善してもらえました。
本番、1曲目を弾きはじめるやいなや、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。どうやら気に入ってもらえた様子。その後はバンドの演奏が入ったり、映像によるエレクトーンの紹介が入ったりの、変化に富んだステージになりました。
最後にはぶっつけ本番のアンサンブルで熱狂的に盛り上がって終演。偉い皆さんにも大好評だったとのことで、主催者やディレクターたちもホッとしたのか、やっと笑顔を見せてくれました。
この芸術課堂は、今日から5月末まで続き、その間、室内楽やミュージカルまで、さまざまな催しが上演されるそうです。その先陣を切ることができ、光栄でした。