ツァオ・レイが昨年10月よりすべてを注ぎこんで準備した演奏会。心地よい春の陽気に包まれ、演奏会には最高の心地よさです。
今回の演奏会ではツァオ・レイを中心に、キーボード、ドラムス、ベース、ヴァイオリン、ハープ、中国打楽器、大阮、そしてエレクトーンと、多数の共演者がいて、作品により編成が変わります。
また、この日のための舞台セットや、演奏中のライブ映像を映すスクリーンなども、かなり大掛かり。リハーサルが複雑で大変そうでした。
ツァオ・レイは、リハーサルで憔悴したところに、休む間もなくすぐ本番という流れになってしまい、彼のコンディションが心配。
でも幕が上がりステージに登場したツァオ・レイは、疲れた様子など少しも見せずに堂々としていますし、落ち着いた音色が聞こえて来ます。これならコンサートは成功間違いなしと直感しました。
第1部が終わり楽屋に戻ったツァオ・レイに、「素晴らしいよ、お客様も熱狂しているよ、その調子で!」と声を掛けました。こうした率直な感想は、このタイミングで耳に入れるのが一番。終演後に聞いても嬉しさは同じですが、続く演奏の支えにするには今を逃しては後がありません。
第2部はハープや打楽器を加えた新作初演からスタート。躍動感のある曲や、幻想的な静けさに包まれる曲など、変化に富んだプログラムです。そして終曲で私も一緒にステージへ。
「とにかく楽しんで!」と一声掛けてから前奏へ。リハーサルの時とはまったく違うドラマチックでダイナミックな演奏に、私も寄り添ったり先導したりしながら、演奏はどんどん盛り上がります。
曲が終わると、会場からは割れんばかりの大喝采。音楽がホールにいるすべての人をひとつにした瞬間でした。自身のソロコンサートを見事に演じ切ったツァオ・レイ。本当に、心からブラボーです。
フィナーレはバンドメンバーと一緒に、中国の伝統曲「賽馬」。アップビートで颯爽と締めくくるところも、ツァオ・レイらしい演奏会でした。
終演後は同じ音楽庁内にあるボールルームでレセプション。シャンパンで乾杯をしたり、成功記念のケーキにツァオ・レイがナイフを入れたり、新婦のいない結婚披露宴のような雰囲気でもありました。
これだけ情熱を注いだコンサートが終わり、今夜のツァオ・レイはどんな気持ちでいるのでしょう。気分よく眠れることを願います。