エレクトーンと二胡 奇跡の出会い 上海文化広場

4月2日に発案され、たった5日の準備期間で本番当日を迎えた文化広場コンサート。何もかもが初めて尽くしの中、圧倒的な実行力が生み出す上昇気流に乗って、夢のような体験をさせてもらいました。

会場入りしたのは午前中。ホールの周囲は公園として公開されているのですが、その入口に設置された大きな看板を見て、まずビックリ。いつの間にこんなに大きなものを作ったのでしょう。聞けば、ここだけでなく何箇所かに設置したとか。

上海文化広場は世界最大の地下劇場。楽屋へは、関係者専用エントランスから、地下へと下りて行きます。何か、巨大な研究施設に入るような緊張感。

真っ先に舞台へと直行。その美しさとスケール感にビックリ。ここで弾けるなんて本当にラッキーです。

移動舞台や迫上がり舞台はもちろん、なんと水を使った演出のために、プールや噴水もあるのだとか。舞台袖や舞台裏も広大で、ジェット機を格納することも出来そう。

劇場ホワイエには、巨大なオブジェやステンドグラスがあり、ホールそのものが芸術作品です。

楽器の設営が済んだところで、打ち合わせを兼ねてランチタイム。近隣のレストランへ出掛けることも考えましたが、スタッフ用の食堂があると聞き、そこを利用させてもらうことに。

ホールだけで常に100名以上のスタッフがおり、昼夜の食事は食堂で提供されるというのですから、これまたビックリ。ホールのボスも一緒に同じランチを食べました。

さて次の写真はどこだと思いますか?ホテルのスイートのような感じの部屋です。

大理石張りのバスルームもあります。

モザイクタイルのシャワーブースでのんびり過ごすのも心地よさそう。

実はここが楽屋。こんなに立派な楽屋なら、ステージに向かう気持ちも一層盛り上がります。

この他にも個室や大部屋など、数え切れないほどの楽屋があり、バックステージは迷路のよう。出演者が迷わないように、廊下にステージへの案内ラインが描かれています。

リハーサルは午後3時から。音響は私が初めて上海で演奏した2009年からお世話になっている音空さん。私の演奏を理解してくれているので安心です。

まだ誰もいないホールで、ひとりきり奏でる音楽。ダイナミックな音はもちろんのこと、ピアニッシモが美しく響くことに心が震えます。

本番が19時15分からというのは、リハーサル後に初めて知りました。たった4日間でどれだけのお客様が集まって下さるのか。それが一番の心配ごと。

舞台の幕が閉まっているので、客席の様子はまったくわかりません。板につくと、開演のベルに続き幕が上がります。幕が上がりきるまで、私は人形のようにポーズを決めたまま静止。幕が飛びきったところで演奏スタート。

今回は、私にとっては中国で初めて、司会のない音楽オンリーのコンサートです。大ホールに小さな電子楽器が一台だけ。特別な舞台セットはなく、照明もシンプル。派手好きな中国ではブーイングされ兼ねません。

でも、音楽だけが満ちている美しい空間で、お客様が心行くまで音楽に浸っている様子が、ステージ上の私にも伝わってきます。

本番中は照明のため客席がまったく見えませんが、盛大な拍手が私を大いに鼓舞してくれました。

後半はツァオ・レイを迎えてのアンサンブル。自身の大イベントを終え、リラックスしたツァオ・レイ。のびのびと軽やかに演奏してくれました。新旧の楽器を弾く、異なる国のふたりに、お客様も新鮮さを感じてくれたようです。

幸せな時間はあっという間。今回は2階席と3階席は最初からクローズの予定で、1階席だけのチケットを販売したそうですが、ほぼ満席。1,200人もの人が集まってくれました。

11日間の上海滞在で、8回のコンサートに出演。約1万人の方々に、エレクトーンソロ演や二胡とのアンサンブルを聞いてもらいました。この経験を糧に、よりよい演奏を目指して、国内外問わず、更に精力的に取り組んでいきます。