月21日に日本の広い地域で観測された金環日食。私は北海道の帯広にいたため直接見ることはできませんでしたが、東京にいたチームスタッフが事務所のバルコニーから食甚を撮影して見せてくれました。
その時、帯広は厚めの雲に覆われており、部分食も見られませんでしたが、空が少々暗くなったことだけはわかりました。
私は子どものころからの天文ファン。枕元には常に天文書や図鑑を置き、毎夜それらを眺めては遠い世界に思いを馳せていました。当時を思い出すと懐かしさで胸がいっぱいになります。
そうして子どもの頃から天文学的なスケール感に慣れていたことは、今、壮大な音楽を演奏する際に非常に役立っています。
天空には無数に星が輝いているのに、それらの間がとてつもなく離れていることや、見上げる星空が現在の姿ではなく、過去からやっと届いた太古の光であることなどを、実際の感覚として理解すると、世界観が変わります。
旅の途中に地球の壮大さに圧倒されることもしばしば。でも、宇宙の規模からすれば、地球はとても小さな存在ですし、私たちの一生どころか人類すべての歴史さえ一瞬のこと。
小さな星での一瞬が人生のすべてなのだと思うと、ひとつきりの命が一層いとおしく思えて来ます。