6月恒例の和田龍新酒を味わう会に参加するため、信州上田を訪れています。今年の会場は、上田駅から徒歩3分という便利な場所にありながら、源泉100%の温泉を持つ宿、祥園。今夜の宿泊もこちらです。
祥園には2年ぶりに訪ねましたが、既存の本館に別館寿久庵が加わり、ずいぶんと風情が深まりました。今回宿泊する寿久庵は、一部を除いて大正時代の建築が使われています。
庭には草木が茂り、小さな花もたくさん咲いています。縁側でお茶でもすすってほっと一息と行きたいところですが、夜の演奏に向けてリハーサルをしなくては。でも、その前に軽くひと風呂。
誰もいない岩風呂で血のめぐりがよくなったところで、本館の会場へ。別館フロントのお姉さんが、「今夜の演奏が聴けないのが残念です」と言ってくれたのがちょっと嬉しかったです。
エレクトーンとスピーカーは地元の楽器店「琴光堂」さんが用意してくれました。スピーカーの鳴り具合や、鍵盤の感触、タッチコントロールの掛かり具合などを入念にチェック。
音の感じは次第に馴染んで来ましたが、まだ体調が万全でない私は、なかなかエンジンが掛かりません。でも、焦らずにじっくりと楽器に向かい、弾き込んでいきます。
2時間半ほど弾いてリハーサル終了。やっと音楽の感覚が戻って来ました。そして、大正ロマン漂う部屋に戻ってドレスアップ。いよいよ新酒を味わう会のスタートです。
今年も多くの方々が集まりました。年代も職業もさまざまですが、皆さん本当に気持ちのいい人たちばかりです。
演奏は約30分。体調不良の中でベストを尽くしたものの、私としては納得がいかず悔しさが残りました。ちょっと話すと咳込むので、ぼそぼそと陰気な話し方に。
演奏中も呼吸が思うようにできず、ブレスが取れないとか、音楽的スケール感が不十分であるという以前の問題に。
演奏中に息が出来なくなり、意識が遠くなっていく時、このまま死ぬのかと感じたり、何とも痛々しかったのではないかと思います。せっかくのお祝の席ですから、華麗に颯爽と弾くべきなのに。
30分の演奏後は、3時間のオペラを弾き終えた時より深い疲労感。でも、この後は、楽しい宴席です。社長からこの日振舞われる6種の新酒について説明があり、各テーブルには次々と酒のボトルと料理が運ばれてきました。
私はアルコールを控えるべきですが、好奇心の圧勝。一口ずつだぞと自制しながらも、6種類すべてを味わい比べました。
今年は最高の出来と社長自ら胸を張るだけあって、どれも見事。スキッとした切れの中に深い味わいが感じられ、昨年よりもパワーが増していますし、思いを込めて丁寧に造っていることがよくわかりました。
終盤にはくじ引きも。くじ運は最悪の私。当たるとしても、料理に髪の毛が入っているとか、新品で買ったものが壊れているとか、悪い方しか当たりません。
ところが、今日はラッキーでした。一等賞の「和田龍大吟醸12年熟成酒」が当たったのです。
もちろん、ヤラセなんてないですよ。念のため。この先の人生、いいことが続きそうな予感です。単純すぎるかな。