庭のバンビとこまどりランチ 三笠 奈良ホテル

奈良ホテルは2009年に開業100年を迎えた日本を代表するクラシックホテルのひとつ。御殿のような風格のある外観からも想像される通り、きしむ廊下や味わい深い調度などに囲まれた、生きた博物館です。

今回はその奈良ホテルを象徴するメインダイニング「三笠」を訪ねました。正面玄関をはじめ、ロビー各所に立つ係はとても礼儀正しく、いいホテルに来たなという気分にさせてくれます。

メインダイニングは1階。フロントロビーから左に折れた廊下の突き当たりにあり、ボールルームを思わせる天井の高い空間です。そんなメインホールを取り巻くように、ベランダ風の明るく細長いコーナーがあります。

テーブルには松葉色のテーブルクロスが掛かり、タケノコ型に折り畳んだナプキンがカトラリーとともにセットされています。

窓の外には小さな稲荷があり、その周囲には鮮やかな緑が広がります。時折、小鳥が庭を跳ねまわるのが見えたかと思えば、今度は小さな鹿の姿が。その小鹿は6月11日にこのホテル内で産まれたのだとか。愛らしい仕草で客たちの気を惹いていました。

サービスは折り目正しい伝統的なスタイル。この雰囲気にはぴったりとマッチしています。

ランチメニューは4,389円から8,085円まで4種類のコースの他、アラカルトもラインナップ。ホテル自慢のビーフシチューを目当てに、こまどりコース(5,197円)を注文しました。

前菜はスモークしたサーモンや帆立に、ホワイトビネガーとバジルのソース。

スープはホワイトアスパラガスのクリームスープ。

こちらは追加したアスパラガスサラダのマヨネーズ添え。(1,155円)

ビーフシチューはモダンな器にこそ盛られていますが、味はどこまでもクラシック。一口頬張った時、頭に浮かんだ言葉は「帝国ホテル列車食堂」。懐かしいです。

デザートはマロンのムースにフルーツを添えて。ぶどうの甘さが印象的でした。

最後はデミタスカップでコーヒー。

どの料理も目新しさを追うことなく、伝統の味を今日に伝えているという感じ。奈良ホテルにはとてもふさわしいと思いますし、このシチュエーションで味わえばこそ、その価値も倍増します。

庭バンビの写真が撮れなかったので、奈良公園の鹿を。

いつか泊まりがけで、このホテルに流れる特別な時間を味わってみたくなりました。