3月末日の東京は春の陽気に包まれ、気分のいい一日でした。近所の桜も、渋谷の桜も、満開の見頃まであと数日といったところでしょうか。4月3日の演奏会の頃には、エレクトーンシティのある桜ヶ丘は、名前の通り、桜色に染まることでしょう。
今回のリハーサルには出演者全員が集まり、台本に沿って進行を確認しつつ、演奏曲の細かい仕上げをしました。プログラムのほとんどにフルートが登場しますが、完全独奏から、二重奏、三重奏、四重奏、そしてエレクトーンとのアンサンブルと多彩な組み合わせがあり、編成による雰囲気の違いだけでも、かなり変化に富んでいます。
その変化を更に大きくするために、エレクトーンでは曲想に合わせて様々な音色を使います。シンプルにハープやギターの音のみを使ってデュオのイメージを強調したり、珍しい中東の打楽器を加えてみたり、想像を膨らませる電子的な音色を取り入れてみたり、工夫を重ねることも楽しみのひとつ。もちろん、フルオーケストラの華やかな響きもありますので、聞き応えじゅうぶんです。
そう言えば、昨年までの私は、このシリーズでの役割を、時にキツいと感じることがありました。いや、むしろ10年間、いつもキツいと思い続けてきたかもしれません。毎回新規に取り扱う作品が数多くあり、編曲やデータ作成に追われる他、メンバーを取りまとめる長老の役も果たしつつ、当日のホスト役も務め、まさに目が回る企画です。
ところが、今回は準備を早く進めたことと、リハーサルを多く設けたことで、これまでに比べると格段にストレスの少ない状態で取り組めています。納得がいくまで時間を掛けるというのは現実には難しいことですが、せめてそれを心掛ける方が、ギリギリでこなすよりもずっとうまくいくように思います。よい結果を出すには、心のゆとりがとても重要なんだと、今頃になって知りました。
こうして10年越しで初めてチーム的意識やファミリー感覚が築けた私たちのアンサンブル。本番は4月3日です。満開の桜とともに、美しい春の調べを感じに来ませんか? 丘の上でお待ちしています。
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