昨晩、徹夜で編曲したのは、せんくらで米津真浩さんと共演する、ラフマニノフ作曲のピアノ協奏曲第2番。朝には出掛けなければならず、それまでに仕上げようと粘った結果、出発5分前に最後の一音を書き記すことができました。
この作品には子どものころから親しんで来ましたが、取り上げるのは久しぶり。よく考えてみると、これまではピアノを弾いていたので、オーケストラパートを弾くのは新鮮です。
また、両方のパートを弾けば、ラフマニノフがスコアに記したすべての音を奏でたことになるわけですから、それを想像するだけでワクワクします。
かつては、ロマンチックで美しい曲だと思っていましたが、今になって改めて読み解くと、苦しみ抜いたその先にやっと見出した光や、深海を漂うような闇の高圧力などが、より鮮明に伝わってきました。
この曲からは、これほどのピアノ演奏技術と美しい旋律を紡ぎだす才能に恵まれたラフマニノフでさえ、確かな自信どころか、自信のかけらさえも持てずにいた様子が感じられます。私など迷ったり苦しんで当然だと思えば、気が楽になるというものです。
編曲が済んだと言っても、まだエレクトーン用のデータ作成や、洗練された演奏に向けての稽古が待っています。データ作成には骨が折れそうな予感。
とりあえず、「一度にふたつのことはしない」主義ですので、次はまず組曲の編曲、そして歌劇の編曲までを済ませて、あとは楽器に向かって一気に仕上げていくという段取りを考えています。
さて、今は和歌山にいます。明日はクラスの修了コンサート。その準備と秘密の稽古のために、これから宮井ホールへ向かいます。そして、観客ひとりのためのコンサートを上演します。