リサイタルに備え、昨晩は早くにベッドへ入ったものの、ラフマニノフが気になり、結局起き上がって、ペンを片手に明け方までワークを続けました。眠らずに迎えた演奏会当日。このままでは切れ味のいい演奏が出来ないのではと心配しましたが、不思議に活力がみなぎり、意気揚々と会場へ向かいました。
新潟リサイタルの会場はユニゾンプラザ。初めて訪ねる施設です。早速ホールへ。想像していたよりも広く、そして響きのある清潔な空間。舞台にはエレクトーンがぽつりと一台置かれていました。
さあ、これからこのエレクトーンと手を組んで、名曲の数々を奏でます。まずはスピーカーを運び込み、セッティングを。並行してシンプルな照明をセット。だんだんと演奏会らしくなってきました。
セッティングが済むと、すぐに音をだしてみたいもの。さてどんな響きなのでしょう。これまた想像していたよりも響きはよく、エレクトーンの演奏会には好都合な環境です。
ここのところオペラやコンチェルトの編曲ワークに追われていたので、しっかりとソロを弾くのは久しぶり。正直言うと、和歌山のコンサート以来、3週間ぶりです。
プログラムを1曲ずつ丁寧にリハーサルしますが、我ながら絶好調。ますます本番が楽しみになってきました。
そうして迎えた本番。和歌山同様、控え目にぼんやりとセットされた照明の中、演奏がスタート。大好きな曲ばかりを弾くのは、本当に楽しくて仕方ありません。
途中のトークも穏やかに。会場のお客様ひとりひとりとテーブルに向き合って会話しているような感覚です。演奏曲の紹介や、演奏への思い、エレクトーンの紹介などを含め、初めての方にもじゅうぶんに楽しんでもらえるよう、リラックスした雰囲気で進めました。
ボロボロに疲れているはずなのに、音楽が全身を駆け巡り、私に無限のパワーを与えてくれます。汗びっしょりですが、爽快な気分。あっという間の90分でしたし、私が目指している音楽に一歩近づいたような気がします。
今回も多くの方々が惜しみない応援をしてくれたおかげで、演奏会を成功させることができました。やっぱりコンサートは最高。デスクワークは私の気を重くしますが、その先にはステージが待っているのだと思えば、苦痛は消え去ります。
せめて今夜だけは演奏会の余韻に浸りたいところですが、残念ながらすでにスイッチはオペラモードにシフト。あとはなるべく早く楽器の前に戻り、何百頁もの楽譜をきっちり弾かなくてはなりません。今日の演奏会の思い出が、不安な私を支えてくれるでしょう。