カルメンのドレスリハーサル

冷たい雨の日曜日。オペラの稽古場にエレクトーンが運び込まれ、本番を目前に控えたカルメン公演のドレスリハーサルをおこないました。初めてエレクトーンの演奏を聞く歌手は、どんな印象を持つのでしょう。責任重大です。

ランスルーリハーサルのスタートまで2時間。歌手たちは届いたばかりの真新しい衣装に着替え、舞台に見立てたフロアで立ち位置の確認を始めています。私は片隅で邪魔にならないように稽古を。1秒でも無駄にしないように。

やがて、一部の歌手と指揮者とで音楽稽古が始まりました。そこに便乗して、私もタイミングや呼吸をつかむ練習をします。

時間となり、ランスルーがスタート。にぎやかな前奏曲から、ノンストップで進んでいきます。今回はハイライト形式なので、4幕のオペラを80分に要約。途中休憩はなく、演奏にわずかな休みもありません。

歌手たちもしっかり声を出して歌っていますし、衣装をつけての演技が入ると、雰囲気が俄然違ってきますので、演奏に向かう気持ちも自然と高まります。85分掛けて1回目のランスルーが終了。もう燃え尽きた感覚でしたが、ダブルキャストですので、もう1度は通して弾かなくては。

1時間ほどのブレイクがあり、歌手やスタッフとコミュニケーションを取りながらリラックス。1回目のランスルーで、私自身がミスをしたところをさらっておくべきかとも思いましたが、ここまできたらパワーをセーブすることが優先かもしれません。

2回目のランスルーでは、空調により楽譜が飛ばされるハプニングがありました。それでパニックになりかけたことで心に火が点き、本気モードで弾きまくって汗びっしょり。本番が楽しみです。

明日は米津さんとピアノコンチェルトのリハーサル。カルメンはひとまず置いて、ラフマニノフの甘美にしてシビアな世界へトリップします。