インドネシアにはとても魅力的な観光地が多数ありますが、首都ジャカルタには目玉となる観光名所がありません。そのため、訪れる人はビジネスかトランジットばかり。それが逆に観光地化を推し進めず、現地の雰囲気をそのまま残してくれているのかもしれません。でも、せっかく来たのですから、ちょっと歩いてみましょう
といっても、ジャカルタ市内を徒歩で動き回るのは、あまりよくありません。その理由は、ひとつには治安、もうひとつは歩きにくい道路環境にあります。
ジャカルタ市内はどこも車の交通量が多く、しばしば渋滞します。現地の人は通常のペースでふつうに道路を横断しますが、日本人なら思わず手をあげたり、小走りになったりするでしょう。横断歩道や歩行者用信号も少なく、明らかに道は車のためにあるという感じです。
というわけで、ホテル手配のタクシーで目的地近くまで行き、車を待たせたまま散策して、また車に戻るという方法を取りました。ドライバーはとても親切ですが、現地語しか話しません。英語が通じないのは不便かと思いましたが、何とかなるものですね。
ホテルを出発した車は何度もデモ行進に遭遇。日本大使館前でもデモがあり、たいへんな警備態勢が敷かれていたのですが、参加者たちは集まることそのものを楽しんでいるようにも見えました。
さて、車は数キロの道のりを約1時間掛けて旧市街のコタに到着。歩いた方が早かったと思いますが、途中の車窓や、夥しい数のバイクに囲まれての信号待ちなど、楽しいこともたくさんあります。
コタは東インド会社の拠点が置かれた街。当時の雰囲気を今に伝えるコロニアル調の建物が多数残った趣きのある街並みです。広場では、大道芸や音楽演奏もあって、のんびりとした時間が過ごせます。
建物はかなり傷んでいますが、日本では廃墟の部類になりそうな建物でもちゃんと使われています。その共存が、またとない風景を作り出しています。
一休みしたい時は有名なカフェバタビアもいい感じ。でも、広場に腰かけて、屋台から飲みものやスナックを買ってくつろぐ方がここには似合います。
次はナショナルミュージアム。ここはぜひ行きたかったところ。なぜなら、入口には象の像があって、建物はその名もエレファントウィングです。1万ルピアを払って館内へ。古びた建物自体が風格を放っています。
中庭を中心に、ヒンドゥー教が盛んだった頃の石像が展示されています。ガネーシャ様もたくさん。それぞれに表情が違うのはもちろん、ユニークなポーズのものもありました。
館内の展示からは、インドネシアがいかに多種多様な民族と文化を擁しているかが伝わってきます。民族ごとの工芸品や用途を紹介したり、ガムランの楽器たちが展示されていたり。けっこうな見ごたえでした。
最後は独立記念塔モナス。イスラム形式の広大な庭園の中心にそびえる記念塔。周囲に何もないこともあって、独特の存在感を放っています。
塔にはエレベータで昇ることができますが、この日は遠足の子どもたちが列をなしていて、数時間待ちだとのこと。塔からの街並みも素晴らしいのでしょうけれど、それよりガーデンを歩く方が気持ちよさそうです。
その後は、コンサートホールやモスクを見てホテルへ。約4時間の駆け足コースでしたが、じゅうぶんに満喫できました。タクシー代は4時間乗って3,000円程度と格安です。よいドライバーに出会えたこともラッキーでした。