歩いて出会うマカオの風景

マカオは歴史の街。起伏のある狭い土地に、ポルトガル文化の影響を色濃く受けた建物が数多く残っており、見どころたっぷり。気の向くままのそぞろ歩きがよく似合います。

といいつつ、人の流れについつい引き込まれてしまいました。中国では旧正月を祝いますので、新正月はふだんと変わらないのかと思いましたが、尋常でない人の数で、思うように歩けないほど。その流れに従って歩いたら、マカオ観光の定番中の定番、聖ポール天主堂跡に着きました。おぐけんと来た時も寄った気がしますが、よく覚えていません。天主堂跡から階段を見下ろすと、賑わいぶりがわかります。

こんなに人が多いと、足元の石畳が目に入りません。ここからは人のいないところを探してみましょう。天主堂跡からさらに丘を上がると、モンテの砦。マカオ博物館もここに。人々はのんびりくつろいでいます。だいぶ人が少なくなってきました。

砦の壁や大砲を見た後は、着た方向とは逆の坂を下ってみました。100メートルと離れていないのに、先ほどの雑踏からは想像できない静けさです。

軒を連ねる集合住宅にも、独特の雰囲気が。やっぱりここは、中国でも香港でもなく、マカオ。そう思わせてくれる風景が続きます。路地で子どもが歌を歌っていたり、おじいさんがのんびり歩いていたり、さりげない日常も穏やか。

ぐるっと回って聖ドミニコ教会の前に戻ると、元の賑わいでした。自転車タクシーも走っていますし、店もたくさん。観光地らしい趣きです。

旧市街を後にして、タイパ村へ。昔は小さな漁村だったそうですが、今はマカオの人たちが暮らす住宅街となっており、マカオの日常を見ることができます。

古い街並みには、さまざまな文化が入り交じっています。と同時に、新旧マカオの景色が混在。初めてなのに懐かしさ漂う道でも、遠くに目をやればメガリゾートが見えます。

一瞬ごとの風景を目に焼き付けて歩いていると、西洋風の建物に囲まれて、中国の寺がありました。線香のけむりとにおいが、不思議な気持ちにさせてくれます。

寺の前では、子どもたちが自転車に乗って楽しそうに遊んでいます。そばを通ると、みんなが私の顔を興味深そうに眺めます。なんか付いてる?

古い街並みのすぐ先には、高層マンションの群れが。超高層の同じ建物が規則正しく並ぶさまは圧巻です。どんな人たちが、どんな生活をしているのでしょう。

タイパからコタイに戻る途中、タイパハウスミュージアムに立ち寄りました。元ポルトガル高官の別荘だったものを公開しています。中には小さなオルガンがありました。どんな音がするのでしょう。

タイパ島とコロアネ島の間が埋め立てられるまで、このタイパハウスミュージアムのある場所からは、目の前に海が見えていました。今は池の向こうにコタイ地区が広がっています。

コタイのメガリゾートはすべてが新しすぎ。お金が掛かって立派なのはよくわかりますが、ホンモノではないのです。それに比べると、オリジナルのマカオは情緒たっぷり。上海にあてはめれば、浦東と租界周辺のコントラストといった感じでしょうか。私が俄然、旧市街が好きです。