I’m fine.

ブログの毎日更新を終えて2ヶ月ほど経ちました。その間にもたくさんのメールをいただきました。心配してくれたり、またブログが読みたいと励ましてくれたり。こんな私のことでも気にかけて下さる方々がいるのは、とてもありがたいです。

ブログを書かないとなると、パソコンを開く機会もめっきり少なくなりました。元来、携帯電話(今はやっとスマートフォンですが)は好きでないので、あえて持たずに過ごすことも増えました。

ネットの世界から遠ざかると、現実の世界が生き生きと感じられるようになり、今までなら聞き逃していた音や、街の色彩の変化に一層敏感になったような気がします。ああ生きているんだと実感するなんて言えば大げさに聞こえるかもしれませんが、実際、そんな感覚です。

この先、演奏会への出演はとても少なくなることでしょう。これまではお声が掛かってスケジュールさえ空いていれば、どこへでも飛んでいきましたが、これからは機会を厳選し、じっくりと準備をしていくつもりです。

そんな心境の変化もあって、日々の稽古は以前にも増してストイックです。狂ったように弾いていると、我ながらそう思います。

ただ、以前のように、あれも弾かなくては、これも準備しなくてはと、作品の数に圧倒されて雑に仕上げるという状況にはないので、これと決めた作品に納得がいくまで取り組めるのは幸せです。演奏する者にとって、これ以上の幸せはありません。

ここに至るには葛藤もありました。仕事をセーブするということは、すなわち生活の質に影響するからです。今の生活を捨てられるのか。それは簡単な選択ではありませんでした。

「あなたは音楽のしもべとして、人生のすべてを捧げる覚悟はありますか」。とある著名な音楽家の言葉です。私のような小さな存在がどんなにあがいても、たいしたことはできません。でも、せめて心底音楽を愛する者として、胸を張れるだけのことをしたい。この問いかけに、私は「はい」と宣言したのですから、ひとつひとつの作品に、もっともっと真剣に誠実に向き合うべきなのです。

今、改めて思うのは、一台の楽器でオーケストラのために書かれた作品を演奏するのは至難の業であるということです。「なんとなくオーケストラっぽい」ではなく、真の音楽性を伝えられる演奏と認められるまで、エレクトーンの音楽を磨き上げていきます。まだ、道は始まったばかり。でも、素晴らしい旅になりそうです。