満月の歌

12月の満月を表すCOLD MOONをテーマにしたコンセプトライブを、東中野のALT_SPEAKERで開催。深淵な神秘性を持つ不破佐知子さんのヴォーカルに、種村敬子のフレキシブルなピアノが呼応し、その裏をエレクトーンで支えながら彩る、ありそうでどこにもないライブミュージックを展開しました。

様々なジャンルのミュージックライブが開催されるALT_SPEAKERですが、この夜は開演前から落ち着いた雰囲気が漂っていました。お客様の平均年齢をぐんと引き上げていたのはうちの両親でしたけれど、思い思いに穏やかに開演を待つお客様の様子は、空港のファーストクラスラウンジを思わせるものがありました。

そろそろ行きましょうか。不破さんと種村に声を掛けて、私たちはステージへ。柔らかいピアノのイントロに誘われて、静かに歌い始める不破さん。午後のまどろみのようなテイストが店を包みます。

今夜は満月。誰もがロマンチックな気分を楽しんでいます。

不破さんとの共演はこれで3度目ですが、回を重ねるごとにまとまってきています。そして、不破さんと種村の音楽はとても相性がよく、リラックス感が一気に増しました。

セットリストは、タイトルや歌詞に「月」が登場する楽曲を中心に。ジャズテイストで即興的なものは、種村がリードを。クラシカルなものはエレクトーンがよい味を出しました。

はじめはためらいも見せていた種村のピアノも、次第に熱を帯び出して、自由に、そして心地よさそうに盛り上がり、それに応えるように不破さんもブーストされ、ステージも客席も高揚しました。

アンコールはシューベルトのアヴェ・マリアを。曲が終わった後も余韻が続き、お客様と軽やかな談笑があり、お開きに。店の外では満月が輝いていました。

これで神田将30周年の2024年演奏会はすべて終了しました。たくさんの美しい出会いと、かけがえがなく愛おしい時間に彩られた一年でした。心からの感謝を込めて。

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