新潟の夜

米津真浩さんとの演奏会のため、両親を連れて新潟を訪れています。母にとっては子どもの頃を過ごした思い出の土地であり、父には初めて訪れる見知らぬ街。それぞれの視点で、冬が近いことを感じさせる新潟を見ています。

まず私と母は駅がすっかり変わったことに驚きました。かつての日本海側のターミナル駅特有の雰囲気は消え、どこにでもありそうなきれいな駅になりました。

そして何より驚いたのは、新潟ではトップクラスの老舗ホテルに滞在するというのに、夕食難民になったことです。

足が不自由な母は気楽に外出するのが難しいので、旅先では宿の食堂を使うことにしており、それがひとつの旅のハイライトでもあり、楽しみにしています。

高級ホテルならサービスが安定しているだけでなく、レストランも充実しているので、多少高くても、両親のためによい宿を選ぶようにしています。

今回も万代橋を見渡せる部屋を用意し、館内で夕食を楽しむつもりでチェックインしました。

ところが、5軒あるはずの館内レストランは、なんとひとつも営業していないというではありませんか。ふたつはコロナから引き続き休業中、ひとつはランチのみの営業、ひとつはシェフが辞めてしまって開られない、ひとつは定休日と、全滅。

お泊りのお客様に温かい夕食も提供できないなら、とても高級ホテルとはいえません。もはやコロナの言い訳なんて通用しませんし、そもそも古びたふつうの部屋で五万も取っているのですから、きちんとやってもらいたいものです。

結局、寒空の中、足を引きずりながら出掛けなければならなくなりました。ホテルの品格は、すなわちその都市の品格。ホテルの印象は、すなわちその都市の印象。最近、ホテルに興味を持てなくなってきたのは、そのあたりの変化が大きく影響しています。ただ蹴るだけならビジネスホテルでじゅうぶんですから。

さて、演奏会に悪影響がないよう、早めに休むとしましょう。

One thought on “新潟の夜”

  1. ご両親と思い出をたくさん作っている神田さんを拝見する度に微笑ましくなります。
    今回のブログで、久しぶりに神田さんの「哀」か「怒」を感じた気がします。
    僕も当日、このホテルでランチをしてから、りゅうとぴあに向かおうと思っていました。
    誰でも知っている日本を代表するホテルだから…と思い、レストラン案内を見て驚愕!
    水曜・木曜定休のレストランが多い。またコロナで…欠員で…とよく書けたものだなぁと思いました。
    料理人はいるはずなので、ブッフェレストランで全ての料理を提供するなど方法はあるはずなのですが…
    このホテルのレストランに出掛けて満足に食事も出来ないのは嫌なので、計画を変更しました。

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