広島ソロコンサート

11月のロングジャーニーも終盤。山口を名残惜しく発ち、広島へ向かいます。新幹線は新山口から広島まで猛スピードで駆け抜けますが、徳山、新岩国と途中駅を通過する毎に巡った学校のことを思い出しました。出会った子どもたちとまた会う機会はあるのだろうか。あるとして、彼らはどんな大人になっているだろうか。思いは膨らみます。

広島駅はたいへんな賑わいでした。外国人に連休は関係ないでしょうけれど、大荷物の外国人を多く見かけます。タクシー乗り場も長い列ができていましたが、すぐ脇にある路面電車の駅を眺めていると飽きることがありません。この光景も新しい駅が完成したら見納めです。

親切なタクシーに乗って、この日のコンサート会場へ。アステールプラザには、大小さまざまなイベント会場が設けられており、こちらもまた多くの人で賑わいを見せていました。泊まることもできるようで、中野サンプラザみたいな感じです。

今回のコンサートを企画してくれたのは、坂町の復興音楽祭を5回の成功に導いた城谷智子先生。復興音楽祭は今年の春にひとつの区切りを迎えましたが、引き続き広島に上質なエレクトーンの音楽をと、意欲を見せてくださいました。

気楽にささやかな手作り感覚の会にしていただければとお伝えしていましたが、会場といい、お客様といい、何から何まできちんとした形で迎えてくださり、そのあたりにも音楽会への思い入れを感じました。

お手伝いに集まってくれた皆さんもたいへん気持ちよく、そうした心地よさが、すなわち演奏の心地よさになっていくのかもしれません。

しらさぎ号の太田垣さん、にわかに照明係をしてくれる菊池玲那、客席でシャッターを切る上田海斗と、最強の布陣でコンサートはスタート。

会場を使える時間を考慮して、休憩なし70分のプログラムを組んでいましたが、少し時間に余裕が見えたので、急遽2曲追加して演奏しました。

お客様はたいへんよく聴いてくださり、演奏する側の気分も高まります。ソロなので終始自由に振る舞えますし、休憩なしというのも集中が途切れず自分には向いているようです。

会場はあまり響かず、シンフォニックな曲目には厳しいかとも心配しましたが、リハーサルを聴いた菊池玲那が、スッキリと聴こえて意外といいと言ってくれたことで、安心して弾けました。

シンプルにして、エレガント。私が理想とするスタイルの演奏会となり、大満足です。

写真/上田海斗