せんくら最終日は2本立て!まずは朝一番で開演する廣津留すみれさんとのステージです。
前夜に姜さん浅野さんと共演したその熱気がまだ残る同じ会場に、美しいヴァイオリンの生音が響きます。前夜はPAが入ってパワフルなサウンドになりましたが、生には生のよさがあって、よりダイレクトな表現が伝わり、ディテールも浮かび上がってきます。
エレクトーンはそのどちらにも対応できますが、私個人としては生音の楽器や声と共演する時の方が、自分らしい演奏ができるような気がします。
廣津留さんとは今回が初共演。こうしてまたせんくらで新しい出会いに恵まれ、本当に幸せです。
10月1日に東京でおこなったリハーサルが廣津留さんとの初対面でした。メディアを通じて廣津留さんのことはよく知っていましたが、一緒に演奏する時にどんな感じなのかはまた別のことなので、エレクトーンを気に入ってもらえなかったらどうしようかと不安がありました。
アニメ、ゲーム、オペラ「3大エンタメ詰め込み」というテーマで揃えた大胆なプログラムは、廣津留さんのアイデア。幅広い方々に興味を示していただき、あっという間にチケットは完売。
編曲はギリギリまで難航し、10月1日のリハーサル時に未完成のものがいくつかあったのですが、廣津留さんと実際に会って、あれこれ相談しながら進めていたら、あっさり解決。姜さん浅野さんの時もそうでしたが、やはりひとりで考え込むより、とにかくやってみるというのがいいようです。
リハーサルを終えて、たくさんの宿題を抱えた私。6ヶ月掛けて準備した編曲のうち、いくつかをボツにして、4日間で一から作りなおすことに。また、廣津留さんがどう弾き、どう仕上がることを望んでいるかを読めなかった作品については、リハーサル後から本格的な準備に入ったので、こちらもまたギリギリでした。
そういう意味では余裕のないまま本番を迎えたところもありますが、実際には本番の演奏が一番楽しく、一番よかったと思います。初対面の共演者とのリハーサルというのは、どうしても抑制され冷静に弾くので、本番の勢いをイメージするのは困難ですが、本番での廣津留さんはとても生き生きとしていて、何も考えなくても呼吸が揃っていく感覚で楽しめました。
演奏時間が足りるかな?とふたりで心配していましたが、むしろ時間が足りなくなり、カルメンファンタジーの楽章をひとつ飛ばすとの指示が廣津留さんからジェスチャーで届きました。マジかいな!エレクトーンはプログラムチェンジの順番を組んであるから、そう簡単には飛ばせないんじゃ!と焦りながらも、カツカツカツと高速で蹴り進め、何事もなかったように次楽章へ行けました。
これまで演奏することのなかったジャンルの音楽も新鮮な気持ちで楽しめましたし、何より廣津留さんとエレクトーンがとても相性よく感じられたのが嬉しい!必ずまた共演したいと思います。
さあ、残すはあとひとつ。今年最大の山場、青柳晋さんとのラフマニノフです。すぐにリハーサル会場のスタジオに移動。急ぎます!
⇩写真:上田海斗(フォトグラファー)ご本人も登場