ホテルの高層階にあるラウンジといえば、なんとなくバブルのにおいが。最近はあまり流行らいこともあり、宴会場に改装されるケースが多くなってきました。残っているとしてもかつての勢いはありません。
まして、そんな環境で提供されるフランス料理なんて、宴会料理に毛が生えた程度という印象しかないのですが、ハイアットリージェンシー大阪のベイラウンジでの体験は、悪い印象を打ち破る素晴らしいものでした。
ベイラウンジという名称からは、カクテルラウンジのようなイメージしか浮かばず、週末にカップルがいちゃいちゃする店しか想像できませんでした。実際に足を運んでみると、店先では丁寧な出迎えがあり、改装されてさほど年月の経っていないモダンな店内は居心地のいい雰囲気。大きなソファセットでくつろげるコーナーがあったり、シックなカウンターがあったりと、アルコール目当てで訪ねてもじゅうぶんに満足できる環境です。
特にダイニング専用のエリアがあるわけではありませんが、ゆったりと配置されたテーブルに、真っ白いテーブルクロスを掛けたセッティングを施すと、立派なダイニングのでき上がり。窓に近い席なら、高層階からの夜景も見事です。
コースメニューは3種類。プリフィックススタイルが2タイプ。これはメインディッシュが1品だと9,900円で、2品だと13,200円。その他にシェフ特選コースが17,600円で用意されており、テーブルに着くと給仕が丁寧に説明してくれます。
今回はメインを2品選べるコースにし、各セクションに数種類ずつ用意された料理から好みのものを選びました。
アミューズは生ハムとスップリ。シェフはイタリア料理の経験も豊富なようです。
前菜はフォアグラのソテー。スライスしてトーストしたブリオッシュにイチジクとエシャロットのサラダを載せ、その上にフォアグラ。淡路島の玉葱とバルサミコビネガーの甘さがフォアグラの風味を引き立てます。
スープは蕪クリームとロブスタービスクのロワイヤル。タラゴンとキャビアを添えて。濃厚な味わいがクセになります。
魚料理はオマール海老とモンサンミッシェル産ムール貝のサフランスープ蒸し。耐熱セロファンでぐつぐつ煮込んで運ばれてきて、封を切るとサフランと海のかおりが。これは力作。
肉料理はシャラン産鴨胸肉のロースト。ソースはフランボワーズビネガー。サツマイモのガレットが添えてあります。
コースにはチーズワゴンも含まれています。チーズが苦手な場合にはフルーツプレートに替えてくれるとのアナウンスもありました。チーズの品揃えが豊富で状態もなかなか。給仕の知識も豊富です。
デセールはメニューにある7種類がどれも魅力的で、ひとつに決めるのにとても悩みました。そして選んだのが国産完熟マンゴーのスイスロール。爽やかかつリッチな味わいからして、選んで正解だったに違いありません。
最後はコーヒーとともに小菓子。
落ち着いた雰囲気、丁寧なサービス、美味しい料理。とてもバランスのいい店です。帰りは若い女性の給仕がエレベータホールまで見送ってくれました。また訪れたいと思います。