二胡琵琶ソプラノ、そしてエレクトーン

とにかくパワーとスタミナが超ド級。さすが中国を代表するベテラン二胡奏者です。ひょっとして体内でエネルギーを生産していませんか?と伺いたくなるほど。もう、ついて行くだけで精一杯なのですが、私の使命はこの方々を支えることです。

久しぶりに姜建華さんからお声が掛かり、あの熱狂を再びステージで体験できることに、大きな喜びを感じました。姜さんのお伴で全国を巡り、何百もの公演でご一緒した思い出と感謝は、生涯忘れることはありません。

今回は、国際ソロプチミスト青森のチャリティーコンサート。国際ソロプチミストの皆様にも、全国各地でたいへんかわいがっていただきましたので、心躍り腕が鳴ることひとしおで準備に勤しみました。

共演は中国琵琶奏者の楊宝元さんと、ソプラノの緑川まりさん。楊さんとは長年のお付き合いで気心知れていますが、緑川さんとは今回が初めて。緑川さんが第1回目のオークラ音楽賞に輝いた時から、いつかご一緒したいと願い続けて来て、その夢が今回叶ったのです。

リハーサルは出発前日。姜さんの来日スケジュールにより、直前のリハーサルでしたが、少しも心配はありません。ただ、緑川さんとお目にかかるのはリハーサルが初めてなので、もしエレクトーンをお気に召していただけず問題が生じた際に、軌道修正の猶予があるかが気がかりでした。

ところが、緑川さんはエレクトーンの演奏に乗せて気持ちよく歌って、楽しい!ハマりそう!と嬉しいことを言ってくださいました。姜さんが加わる歌も問題なく完成し、リハーサルはあっという間に終了。そのままでもいいのですが、残りの時間を使ってエレクトーンでの伴奏に更に工夫を重ねます。

緑川さんの歌声はとても包容力があり、温もりが魅力と感じていたので、倍音を控えて声を下から支える音作りを心掛けていましたが、実際に合わせてみると、力強さもじゅうぶんに伝わって来たので、より輝きが得られる音に調整するなどして、調和が取れるようにしました。

また、姜さんの演奏も、お会いできなかった数年の間に、更に魅力的に変化しています。そうしたディテールに俊敏な反応ができるよう、こちらも神経を研ぎ澄ませておかなければなりません。

青森へは前日夕刻に到着。食事はせず、宿のシングルルームから陸奥湾を眺めながら、翌日の曲目解説について調べたり、詩を暗誦して過ごし、翌朝は一番で朝食を。部屋に戻りちょうど目の前に海の女王クイーンエリザベス号が入港するところを見ながら支度して、開館時間までに会場へと向かいました。

二胡もエレクトーンも大ホールでは音響に大きく左右されるので、どのような用意がされているかが気になっていたのですが、気持ちよく協力してくれるスタッフと共に理想的なステージを整えることができ、一安心。

エレクトーンもちゃんと手配されているのか、実物を見るまでは気が抜けませんが、なんと予備機材として2台目まで用意され、終演までエンジニアが待機するという手厚さ。結局、補欠選手が登板することもエンジニアの手を借りることもなく無事終わりましたが、安心感は絶大です。

舞台が整った頃、姜さんたちも到着。楽しくリハーサルして、姜さんツアーならではの雰囲気を楽しみ、そのまま本番へと進みます。こうした流れですから、本番で緊張することもなく、終始リラックスして演奏できましたので、お客様も同様に楽しんでいただけたことと思います。

二胡、琵琶、エレクトーンそれぞれの独奏あり、アンサンブルあり、歌あり。曲目もバラエティに富み、さまざまな魅力を一度に味わえるコンサートですから、きっと広がることでしょう。ツアーに備えてスタミナを付けておかないと。なんて、まだ気が早いですね。