今年のリサイタルは5月3日に開催いたします。会場はいつも通り東京文化会館の小ホールです。
奏者になって30年の節目に何を弾きたいか、たくさん時間を使って考えました。
10年前、迷える私を東京文化会館に導いてくれたのは、「あとむ」こと東京労音の齊藤博之さん。「ああ、オレ言っちゃった〜」と時折り大胆な発言をしながら、私に無敵の自信を与えてくれた人です。
「この曲を神田さんのエレクトーンで聴きたいなぁ」と幾つもの課題をもらい、そのほとんどを演奏してきましたが、唯一弾かずに残っているのが、ドヴォルザークの新世界よりです。ベートーヴェンの第九同様、私の手に余る偉大な作品ですが、逃げていたら一生弾けないと思うので、この機会に演奏する決断をしました。
そして、ご縁のある作曲家の作品を弾きたいと思い、今回は女性作曲家おふたりの作品をそれぞれ1曲ずつ弾くお許しをいただきました。フレッシュでワクワクが止まらない富貴晴美さんの曲、そしてドラマチックでスケール感溢れる加羽沢美濃さんの曲、どうぞご期待ください。
他に、シュトラウスの「美しく青きドナウ」と、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」を演奏します。あまりにも有名で気品たっぷりのワルツは、技術的には難しくなくても、イメージ通りの優雅さで弾くには熟練が必要です。果たして私にその資格はあるでしょうか。
ラヴェルの管弦楽作品は、そのすべてをレパートリーにしていますが、とりわけ好きなのが「ダフニスとクロエ」です。でも、好きと得意は別物。弾くのは本当に怖くて、これまで一度も満足したことがありません。さて、どうなることでしょうか。再び笑い者になる覚悟でプログラムに加えています。
これらの作品には、一見共通点がないように思われますが、30年、不毛で混沌とした世界を彷徨いながら辿り着いた場所からの風景、そして更に新しいところへと踏み出すに当たっての思いなどを感じていただけるストーリーでお届けいたします。この機会にエレクトーンによるクラシック音楽の世界をご体験ください。
神田将エレクトーンリサイタル響像2024
2024年5月3日(金) 13:30開場/14:00開演
東京文化会館小ホール
チケット¥5,000- 全席指定
オンライン購入(代金振込)
http://shop.yksonic.com/shopdetail/000000000085/
第1部
J. シュトラウスII:美しく青きドナウ
富貴晴美:HAKONECTION
加羽沢美濃:ベリンジア
M. ラヴェル:ダフニスとクロエ 第2組曲
第2部
A. ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」