旬の店がずらりと軒を連ねるシンガポール・クラブストリート。この激戦区に10月5日にオープンしたばかりのTruffle Gourmetを訪ねました。週末になると、日が暮れると同時に路上にもテーブルが並び出し、通り一帯がグルメストリートに。カジュアルに、そして陽気に楽しむのが、クラブストリート流です。
Truffle Gourmetがあるのは、クラブストリートの真ん中あたり。グリーンのプラナカン建築に、スタイリッシュな看板がよく似合います。予約の名前を告げると、キッチンがよく見える奥のテーブルに案内されました。
厨房を仕切るのは日本人のサムライシェフ。ほとんどひとりで調理している様子。目まぐるしそうで、声を掛けるのは憚られます。でも、真剣な表情で調理する姿を眺めるのは、まさに舞台鑑賞のようです。
さて、料理はシェフおまかせ。あえて予算も告げませんでした。どんな料理をどんなプライスで楽しませてくれるのか、日本で言えば割烹や鮨カウンターの醍醐味。シャンパンを片手に、皿が運ばれてくるのを楽しみに待ちます。
まずはアミューズのカナッペが石の皿で運ばれて来ました。4種類のカナッペが3人前。あれ、私も写真を見て今気付きましたが、11個しかありませんね。誰かが1種類食べ損ねたみたい。私はしっかり4種類食べたので、きっと食べ損ねたのはあの子。ごめんね。やっぱりトリュフの香るポレンタが一番印象に残りました。
冷前菜は、仔牛カルパッチョ、ツナとケッパーのソースで。ソースの濃厚さがたまりません。
温前菜は、ウオヴォフリット。クリームソースに卵のフリットを浮かべて、トリュフの細かいスライスをたっぷりと。おかわりしたいくらい、もっと食べたいです。
プリモピアットは、ピエモンテの伝統料理、アニョロッティ・ダル・プリン。ピエモンテではどこの店にも必ずあるメニューながら、ふたつと同じものはないほど個性の出るパスタです。ここが気取ったリストランテ風ではなく、もっと身近に感じてもらえる料理を目指していることが伺えました。
この皿が出た時に、イベリコ豚だと説明されたので、牛じゃないの?と疑いましたが、やっぱりイベリコ豚だそうです。首のところの稀少な肉だとか。もちろんトリュフを添えて。
ドルチェはカタナーラ。クレームブリュレに似た味ですが、中がシャーベットのようにしゃっきりしているのが特徴です。鮮やかなフルーツと一緒に。
サービスは、気のいいスタッフばかりで、初めて訪れてもリラックスできるに違いありません。シンガポールのレストランスタッフは、一見気取って見えますが、ちょっとジョークのひとつでも飛ばせば、すぐに打ち解けます。
テーブルで楽しいおしゃべりに花を咲かせていたら、あっという間に2時間。料理のポーションとしては、どれも小ぶりなので、女子にぴったり。逆に食いしん坊には追加が必要かもしれません。
さてさてお会計です。なるほど、納得。これならまたぜひ。オープンしたての店ですから、次回訪れる時には、また内容が変わっているかもしれませんが、サムライシェフの心意気だけは不変でしょう。
帰る頃には路上のテーブルも盛り上がっていました。コース仕立てでなくとも、ワイン片手に小皿をいくつかという楽しみ方もいいかもしれません。シンガポールの夜は、まだまだこれからです。