世の中には優れた音楽家が多数いて、類い稀な演奏で私の心をも満たしてくれています。客席でうっとりと聴きながら、こんな人といつか一緒に演奏してみたいと熱望することしばしば。一匹狼の私に出会いの機会は限られていますが、天からの贈り物としか言いようのないチャンスに恵まれることもあります。
今年は憧れの音楽家おふたりと新たなチャンスをいただきました。ひとりはテノールの村上敏明さん。もう20年近く前からいい声だなぁと痺れていたところ、平野雅世さんのご紹介で共演が実現。6月18日の姫路で、私の舞い上がり具合をご覧いただけます。
そしてもうひとりがピアニストの青柳晋さんです。まだお若いころから青柳さんのピアノに魅了され、何度も客席に足を運んでは、その心地よさに酔いしれたものです。超絶上手いのは当たり前なのですが、なんかこう、人間がピアノを弾いているという感じから入って、気づけば弟が弾くピアノを聴いているかのような親しみに変わる。変な例えですが、毎回そんな感じなのです。
それは、よそ行きのかしこまった音楽というより、本来なら気をゆるした人に対してしか見せない、時に愛情に満ち、時に無遠慮で大胆な表現が、聞き手の心を開き、親密な対話という領域に誘ってくれるのではないかと思っています。やっぱり人間が弾くピアノは最高です。
このようなすてきな演奏を聞かせてくれる青柳さんも、今では超絶立派な先生になられ、私など口をきくのも憚られるところ。なのに、昨年の仙台クラシックフェスティバルで、加羽沢美濃さんから「青柳さん、阪田さんと牛タン食べに行くけど、一緒にどう?」とお誘いいただき、牛タンは嫌いなのにのこのこ着いて行くことに。
目の前に在わす青柳先生とスーパースターの阪田さんにドギマギしていたら、なんと嫌いな牛タンまで美味しく食べられてしまうという事態になり、この機会を設けてくれた美濃さんは、私にとって生涯女神が確定したのでありました。
そのような一過性とも見える牛タンの夕べからしばらくして、なんと青柳先生から演奏会にお誘いいただきまして、今回ご紹介する企画が誕生いたしました。ラフマニノフ大先生へのオマージュとなる演奏とトークの公演で、僭越ながらエレクトーンを演奏いたします。
パガニーニの主題による狂詩曲の他、ピアノ連弾曲をピアノとエレクトーンのアンサンブル版で演奏したり、エレクトーンソロのお時間もいただきました。前半はクラシック・ソムリエの田中泰さんを囲んでのトークセッションもあるラフマニノフ大先生尽くしの2時間。ぜひご来場ください。
お申し込みは6月10日より承ります。チラシ記載の各取り扱い場所までお問い合わせいただければ幸いです。
詳細はこちら https://chiba-aw.jp/event/230911
(チラシ写真がだいぶ以前のものですみません。池谷友秀さん撮影による写真は永遠の品質ですが、私はかなり老化しております)