学校訪問コンサート

5月の末から6月にかけ、今週は山口県におじゃましています。昨年に引き続き県内の小中学校を訪問する音楽隊に抜擢いただき、各地で明るく心優しい子どもたちと出会い、たくさんの笑顔が花開く旅が続いています。

音楽隊と言っても、演奏はエレクトーンソロのみ。それでも随行スタッフや楽器の管理運搬、そして現地では教育委員会や学校の先生が加わり、SWAT並みの精鋭チームで行動しているので、ひとり旅鴉ではなく、まさに音楽隊です。

同じ県内の学校なのにこうも違うのかと、圧倒されるほどの個性が光り、同じ印象になることはまずありません。すべての回が唯一無二の思い出ですが、今年はその中でも特別な機会になると期待していた学校がありました。

私が初めて学校巡回コンサートに参加した年の第1回目が上関小学校。子どもはきっと興味を示してくれないだろう。おしゃべりやざわつきが拡大して演奏会の体をなさなくなり、第一回戦敗退、というシナリオを予想しての山口入りでしたが、結果は大成功。子どもたちの前で演奏することの意味と価値に目覚めた瞬間でした。(トップの画像が16年前)

それから16年。毎年数多くの学校を巡り、数えきれない子どもと出会い、音楽を共有する旅を重ねて、原点である上関小学校を再び訪ねることができたのです。学校に向かう海沿いの道から望む穏やかな風景は少しも変わりませんが、私に当時の迷いは微塵もなく、確固たる気持ちと自信を胸に校舎への坂道を進みました。

もし三度訪ねる機会が巡ってくるとしたらそれはいつなのか。その日は来ないのかもしれませんし、あんがいすぐに訪れるのかもしれませんが、いずれにしても、今日、このひとときというものは二度とありません。

ささやかな演奏会を特別な時間にしてくれた子どもたち。どの学校を後にするときも、強烈な名残惜しさを感じ、彼らに栄光あれと心で叫ぶ一週間でした。