Shakuhachi-Kimono-Electone

尺八奏者の辻本好美さんが主演するコンサートのサポートで、和歌山県田辺市を訪れました。新しい出会い、懐かしい再会、行きずりのふれあいなど、人との接点に心躍らせながら、これまでの道のりや先々のことに思いを馳せる旅でした。

東京羽田から南紀白浜までひとっ飛び。降り立った空港にもリゾート地のムードが漂い、気候も最高ですし、ここはハワイかLAかと見紛うばかり。リハーサルのためコンサート会場へ直行する道中も、ウキウキした気分が収まりません。

偶然同じ飛行機だった辻本好美さんと会場で改めて合流し、コンサートに向けた気持ちの盛り上がりを確かめ合います。公演主催の方々も会場スタッフも気さくで熱心。姫路からも応援スタッフが集まり、最高のチームになりました。これでよい演奏ができないわけがありません。辻本さんとは11月5日に東京豊洲で共演したばかり。リハーサルもスムーズに進み、予定時間よりもかなり早く上がるとができました。

コンサートを翌日に控え、リハーサル後は市内のリゾートホテルでリラックス。目の前にダイナミックな海景色が広がり、サンセットから刻々と色を変える空にうっとり。辻本さんのご両親がホストとなって夕食の席を設けてくださったのですが、和歌山や姫路のスタッフのみならず私の両親まで加えていただき、結納かというほどおめでたく楽しいディナーでした。

本番当日も準備は順調に進み、開演時間を迎えました。冒頭は尺八独奏から。いつも明るい辻本さんも、舞台袖で呼吸を整える姿にほどよい緊張感を滲ませています。開演の合図で辻本さんが舞台に進み、厳かな調べが奏でられると、会場の空気が一気に変わりました。そこにエレクトーンの音が加わり、曲それぞれの持ち味に彩りを添えていきます。

辻本さんとの共演は、息づかいに寄り添った絶妙なアンサンブルができるので、とても気持ちよく感じながら弾いています。即興性が高く、同じ曲でも毎回違う表情になるのも面白いところ。この日も新しい道がいくつも見つかりました。

そして今回のコンサートでは初めて和装で演奏する機会をいただきました。Shakuhachi-Kimono-Electone、このちょっと意外な組み合わせもまた、ひとつのジャパニーズだなぁと思います。フレッシュな辻本さんを高齢鍵盤奏者が支えるという構図も気に入りましたので、このデュオが広がっていって欲しいです。

終演後は、今回も同行した両親のために、白浜に一泊。温泉浴室付きの部屋を用意したらとても喜んでくれました。特に何をしたというわけではないのですが、穏やかな気候と風光明媚な眺望の中、こんなに素敵な朝を迎えられる幸せに感謝。忘れられない南紀の旅になりました。