中央林間のレストラン「ラ・パレット」の開店20周年を祝って開催されたサロンコンサートは、記念日にふさわしい華やかでぬくもりのある雰囲気の中でおこなわれました。多くの皆さまにご来店いただき、ありがとうございました。
私が演奏家として活動を初めて間もなくスタートしたラ・パレットでのサロンコンサートは、私のキャリアの中でもとりわけ思い出深い演奏会です。1日2回の演奏をしても最大でも数十名様と、規模は小さいながらも、毎年何度かずつ回を重ねるうちに、かなりの曲数をたくさんのお客様にお楽しみいたきました。
最初に掲げたテーマは「音楽を身近に」でした。今もその趣きは変わっていませんが、エレクトーンのモデルが変わり、私は歳を重ね、また、お客様も次第に変化して来たように思います。
以前はおしゃれをしたマダムが集い、気楽に演奏を聞いていただいていましたが、近年は音楽が心底お好きという方々が増え、食後の演奏タイムにもかかわらず、コンサートさながらの集中力を注いで聞いて下さっています。
予約の殺到度で見ると、以前の方がずっと勢いがありました。店にとってはその方がいいに違いありませんが、私のやりがいや演奏のコンディションの理想を言わせてもらうとしたら、最近の雰囲気の方が好きです。
ラ・パレットの真弓マネジャーは、この先も継続して行きたいという気持ちの様子。来年、首都圏でのソロはないと宣言しましたが、もしあるとしたらラ・パレットのサロンコンサートだろうと思います。
実は、私の演奏家活動20周年には節目のリサイタルをと考え、コツコツと構想を練り続けて来ましたが、ここのところそれに違和感を覚えるようになりました。節目だからといって、華やかなことをするのが本当に今の私らしいのか、よくわからなくなったのです。
むしろ、次の段階へ向けて確実に舵を取るために、より深く音楽に向き合える時間を持つべきですし、初心に沿った活動をするべき。リサイタルを開催すれば、大きなステージでの振舞いや、新しい作品へのチャレンジなど、貴重な体験が待っていますが、それは日々の音楽活動の中でも、じゅうぶんに得られる気がします。
20年目もこれまで通り、エレクトーンで挑む芸術の世界を、ひとりでも多くの皆さまのもとへお届けするため、小さな旅を続けてまいります。