姫路、宍粟、加古川の3労音が主催したエレクトーンコンサートは、9月12日の加古川の成功を持って、3ヶ所とも滞りなく幕を下ろすことができました。
3カ所でのべ200人近いコーラスと、元劇団四季のベテランシンガーふたりを迎えてのコンサートに於いて、エレクトーンが中心的役割を果たした意味は大きく、私を信頼してこのような機会を任せてくれた播州の3労音に深く感謝いたします。
エレクトーンが中心とはいっても、エレクトーンが主で他が脇という意味では決してありません。エレクトーンを「音楽が生まれる大きな樹木」に見立て、その周りに人々が集まって思い思いに音楽を楽しんだり奏でたりする風景をイメージし、むしろアマチュアコーラスが担う「人々」が主役であり、お客様はストーリーの「主人公」、ゲストシンガーは「案内人」といった位置付けを考えました。
その狙いは見事的中し、エレクトーンが舞台の隅で伴奏をしていた時より音楽の安定性が劇的に向上しただけでなく、シンメトリーでバランスのよい外観が得られた点でも効果的だったと思います。
こうしてエレクトーンを中心にすることで、奏者である私の役目と責任はたいへん大きく重くなったわけですが、その割には苦労したという実感はありませんでした。それもそのはず、なんといっても周りの面々がとにかく素晴らしいのです。よいステージを作りたい一心で、周囲のスタッフにはいつも無理難題を押しつけてばかりでしたが、彼らもまた諦めることなく、すべての要望に見事応えてくれ、これこそが成功の要でした。
アマチュアコーラスの皆さんもまた然り。ひとりひとりがとてもしっかりした方々で、よくぞよくやり抜いてくれたと、心底感服しています。全員で苦労を分かち合い、それぞれに努力を重ねてチームワークで創り上げたステージ。3カ所どれもが個性的で、それぞれがまたとない宝物になりました。
この公演が終わったことで、ミュージカルソングやアマチュアコーラスの皆さんとの共演からしばらく遠ざかることになるので、終演後は卒業式のような雰囲気でした。帰着した羽田空港では、この2年間よく協力してくれた松本昌子さんと畠山典之さんと、出会って初めて「次回」の決まっていないお別れを。この企画での経験が、ふたりにとって大切で意味のあるものになったことを願いつつ、魔の十月への備えに励みます。