10月31日のリサイタルまで、あと2ヶ月となりました。当初は昨年の5月9日に開催の予定でしたが、今年の5月6日に延期したものの、再度の延期となったリサイタルです。その間、見限ることなくチケットをお持ちくださっているお客様、新たに関心を寄せてお申し込みくださるお客様の支えがあって、やっとここまで来ることができました。共演者やチームメンバーの粘り強さにもおおいに救われていますが、それが少しでも希薄だったらとっくに心は折れていたと思います。こんなささやかなひとつの公演を先延ばしにするだけでも、気の遠くなるような労力と気力が必要なのですから、世界中で断念された数々の催しが味わった失意の総量はまったく想像すらできません。その中で、こうして開催の兆しが保てている幸運に深く感謝しています。
スペシャルゲストの崔岩光さんは、現在スイスにお住まいです。この5月にも2週間の隔離など不自由を堪えて日本へ来てくれていました。いよいよリハーサルという前日に延期をお知らせしなければならなかったのですが、崔さんは一言の文句も口にせず、「神田さん、ここで引き下がってはダメよ、アーティストなんだから」と勇気づけてくれました。延期日程が出てご都合を伺う際、「何度もご迷惑をお掛けしているのに、もう一度来てくれますか?」と尋ねると、「もちろんよ、これは神田さんの大事なリサイタルですから、必ず成功させなくちゃ。ね!」と励ましてくれたのです。松田理奈さんも、秋はオーケストラとの共演が多数あり、スケジュール調整が厳しい中で最大限の協力をしてくれました。神田将との共演などご自身のキャリアには何の足しにもならないのに、本当にありがたいことです。
そして主催者も大きな犠牲を払いながら労力を注ぎ続けてくれています。2度も延期すれば、立派な家が建つほどの予算が消えていきます。おそらく中止にする方が傷は浅くて済むでしょう。なのに、開催を目指してチームが動いてくれているのには、主催としてきちんと方針があるからだと受け止めています。エレクトーンによるクラシックコンサートに大きな可能性を見出し、さまざまなチャンスを与えてくれた主催の期待に、私はきっちり応えなければなりません。「クラシックコンサートにエレクトーンがあることを当たり前にしたい」と次世代まで見据えたビジョンを持って進めてくれているチームメンバーと、神田将の音楽を大ホールで聞きたいと待ってくださっているお客様のために、あと2ヶ月、ブレずに臨みたいと思います。
今、エレクトーンを弾いている方、以前弾いていた方、そしてエレクトーンを漠然と知ってはいても今のエレクトーンが持つ潜在力をご存じない方、ご自身の体験と音楽を重ね合わせてみたい方、自分のためだけに演奏されているような気分を味わいたい方などなど、聞いていただきたい方はたくさんいらっしゃるのに、なかなか出会えずにいます。気に入っていただけるかどうかはわかりませんが、新鮮で前向きで刺激的なステージを、東京が誇る音楽の殿堂で体験できるまたとない機会です。こんなコンサートがあるよと、お知り合いにぜひご紹介いただけないでしょうか。
また、チラシを置いてもいいよという方、yk@yksonic.comまでご連絡ください。すぐにお送りします。皆さまのご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。
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