今日が何日なのかわからなくなり、カレンダーをしみじみ眺めました。そうか、10日前はプッチーニ尽くしのステージを堪能して、ラジオに出ていたのか。まるで遠い記憶のように感じます。そのまま大阪に滞在し、中二日間しっかりと稽古に励み、リハーサルを経て迎えたのが、姫路でのコンサートでした。
7月11日、閉館が決まっている姫路市文化センター大ホールで開催されたのは、昨年から延期されていたエレクトーンコンサート。コーラスチームやスタッフを合わせると総勢100人以上が関わって作る公演でディレクターを務める機会はそうあるものではなく、責任と重圧に悩まされる日々でしたが、とにかくよい人たちが集まり、惜しみなく協力してくれたことで、立派なステージが仕上がりました。ひとりひとりに感謝しています。
全体の構想は2年前から出来ていたものの、日々変化する世の中を見つめながら、幾度となく軌道修正を図り、ギリギリまで知恵を絞って開催へと漕ぎつけた公演です。とりわけコーラスチームの安全を保ちながら必要な稽古を積むことには、スタッフとメンバーの努力と忍耐が欠かせませんでしたし、指導担当の先生方の情熱によるところも大きかったと思います。
また当日は予想以上に多くのお客様にご来場いただきました。座席数は制限していましたので、混雑はありませんが、久しぶりに客席から気の圧みたいなものを感じ、心地よい一体感の中で演奏しました。
この公演で最も輝いていたのは、コーラスチームの面々です。リハーサルで客席側から全体像を確認する際、ひとりひとりの表情に何度も心を奪われました。そこにあるのは真実という素顔であり、人間らしい心の叫びです。そこにゲストシンガーたちのパワフルな歌が加わり、私が演奏で世界を推し広げていくという相乗効果は、プロのみでのステージとは一味違う余韻を残しました。
中央に置かれたエレクトーンは、「音楽が実る木」のようなイメージで、そこに集まる人々に憩のになりたいという思いを込めました。実際の世界でも、もっとエレクトーンがさりげなくも愛される存在になれば嬉しいです。