広島県坂町での復興音楽祭にてエレクトーンのゲスト演奏をして、1週間が経ちました。
主催者より出演の依頼を受け、二つ返事で出演を決めてから、何度もメールでやり取りを重ね、進捗を伺いながら、開催を楽しみにしていたものの、昨年は感染症拡大の影響で中止に。今年もひやひやしましたが、何とか開催に漕ぎつけ、冷たい雨の降る中にもかかわらず、多くのお客様が集まってくださいました。
坂町は音楽が盛んだそうですが、久しぶりの生演奏イベントに大きな期待を寄せて、心底楽しんでくださっている様子からも、それが事実であることが感じられました。音楽で笑顔になっているお客様は、ステージから見ても本当にステキです。
坂町のみならず広島県の多くの地域が、豪雨で大きな被害を受けたことは、全国に知られています。その実態は報道や投稿を通じて知っていたつもりです。しかし、現地に出向いて何人かに当時の様子を聞いたり、今なお残っている被災地の生々しい様子を見て、実は私は何も知らなかったに等しいと気付きました。
当事者の口から直接語られることと目の前に現れた光景のインパクトは大きく、知識でしかなかったものが、突如臨場感を伴って広がり、恐怖や鼓動が高まって気が遠くなるのを体験し、語り継ぐことの大切さを痛感したのです。
縁あってこの地で演奏をさせていただきました。着実に進む復興が完了し、安心が一日も早く訪れるよう、祈念いたします。
もうひとつ今回の旅で忘れがたいのは、タクシードライバーです。公共交通を避けたい私のために、主催者は専用のショーファーを手配してくれました。個人タクシーを営んで30年超。以来無事故無違反が自慢の住岡さんは、大の音楽好きでもあり、ギター演奏の趣味が高じてライブを開くほどの腕前です。
最終日、空港までの道中、相当の遠回りをしてミニ観光をしてくれたのですが、これがまた命の洗濯になりました。密と無縁の絶景ポイントでは、なんとギターでボサノバの生BGM付き。広島で観光の際はぜひご指名になってはいかがでしょうか。住岡活彦さん、Facebookで検索できます。