4か月。これほど長く舞台に立てなかったのは、奏者になって以来、初めての経験です。その間、次々と舞い込む中止の知らせに、もう永遠に機会を失うとしたらどうやって生きていくのかを真剣に考える一方で、もしステージに戻れたらこんな演奏をしていきたいと夢を膨らませたりしたものです。
6月21日の姫路公演は、合唱団との共演を前提に企画されました。合唱団の稽古ができないため、中止は免れないと覚悟していたのですが、主催者は合唱団との共演を来年に延ばした上で、希望を来年に繋ぐコンサートを私に任せるという思い切った決断をしてくれたのです。これにはおおいに励まされました。期待に応えるため、見るからに本気が伝わるプログラムを組み、思い入れを共有できる共演者を招き、じっくりと時間を掛けて準備に勤しみました。
しかし、心配は尽きません。幸い、安全確保に関しては、主催者と会場とでよく話し合い、じゅうぶんな対応をしてくれました。会場が協力的だったことも、ものごとをスムーズに進める上で、とてもよかったそうです。
問題は、演奏者のコンディションです。長いことステージから離れていただけでなく、これまでとはまるで違うであろう環境での演奏が、いったいどうなってしまうのか、まったく想像がつきません。ステージで空気を読み違えると、自分の心と体が解離して、何をしているのかわからないうちに、ボロボロのまま終わってしまうということがあります。今回は、そうなる危険が大きいと予想しましたが、何としても避けなければなりません。
コンサート前日。出演者3人は同じ飛行機で大阪空港へ向かいました。会えば話したくなってしまうので、あえて座席を離し、待ち合わせもせず、降りてから集合することに。空港も機内も混雑はなく、乗客がいつになく静かに過ごしているのが印象的でした。
当日の会場でも、労音名物の歓迎セレモニーを風通しのよい屋外でしたり、楽屋を一人一室用意して本人以外の出入りは一切ないようにするなど、ゼロ密を徹底。ステージに出る直前に舞台袖で手指アルコール消毒をとのルールも守りました。ただ、この手指消毒だけは、指先の感覚が変わってしまって、弾いている間中むず痒さに悩まされました。鍵盤奏者に限らず、演奏家は注意した方がいいかもしれません。
一方、心配していた環境の影響はほとんどありませんでした。空席が多く客席からの熱量が少ないのも、お客様が全員マスク姿で表情が読めないのも気になるほどではなく、むしろお客様の実数の二倍くらい勢いのある拍手に、すっかり気分よく弾かせてもらいました。やはり、コンサートはいいものですね。きっとお客様もそう感じてくださったことでしょう。
そろそろコンサートにも出かけてみたいけど、本当に大丈夫?とご心配の方も多いのではないでしょうか。私も実際に会場で過ごすまでは、断言する自信がありませんでしたが、今ならそれほど恐れなくてもいいと言えます。コンサートはチケットをお持ちのお客様だけが体験できるエクスクルーシブな空間なので、入場してみなければ場内の雰囲気がわかりません。
そうした不安を払拭するために、当日券を購入する前に場内を下見できるようにするとか、場内の様子を無音モニターで見られるようにするなどの工夫を検討してみたいと思います。それではまたコンサートホールでお会いしましょう。
神田さん、松本さん、玉村さん、素敵な演奏をありがとうございました。ひめじ労音のみんな、大変お疲れさまでした。昨日、ひめじ労音のコンサートに出かけ、帰りの車中は、久しぶりに夫婦の会話も弾み?(笑)充実した一日でした。第一部は、ホルストの組曲「惑星」火星で始まり、久しぶりに神田さんの演奏を聴いて鳥肌が立ちました。まさにオーケストラ!本当に凄いです。神田さんのおしゃべりも絶品?で、相変わらずの楽しさいっぱいのコンサート進行、天は二物も三物も与えましたね。松本さんの透き通る、伸びのある歌声も、久しぶりに聴いて、ううう……凄いとしか言いようがない、あ~コンサートに来て良かった~ひめじ労音ありがとうという感じでした。
そして驚きは、第二部の玉村さんです。今回、玉村さんのフルートを初めてお聴きしましたが、何と凄い技術!! 圧巻の演奏でした。玉村さんの指使いや息遣い、優雅な音の中にエネルギーを感じ、死闘は言い過ぎかもしれませんが、そんな演奏で自分がどんどん引き込まれていくのがわかりました。
松本さん、玉村さん、お二人ともとても魅力的な演奏家ですね。
今日は、宇部音鑑の運営委員会でしたが、会議の中で昨日のコンサートの感想や、ひめじ労音のコンサート運営方法について、たくさん報告しました。神田さんが共演される方は、いつも凄い人だね~と言うと、ある運営委員が「そういう人としか共演されないのよ、神田さんがすごい人だから。」と言いました。あ~そうかと妙に納得する私でした。神田さん、9月の宇部のコンサート、よろしくお願いします。あ、その前に、宍粟労音のみんな、8月のコンサート、頑張って下さいね。応援に行きます。
昨日は本当にありがとうございました。