2月以来、皆さまの前で演奏する機会がありませんが、毎日稽古は欠かさず励んでおります。 3月26日は、「西郷どん」の作曲者として有名な富貴晴美が手掛ける、小田急箱根ゴールデンルートテーマ曲「HAKONECTION」のプレス向け発表会がおこなわれ、今月唯一、人前で演奏することができました。
この「HAKONECTION」はオーケストラを用いて収録されたスケールの大きな作品ですが、プレス発表会場にオーケストラを招くのは難しく、エレクトーンでと声を掛けてもらったものです。
富貴作品は、シンプルで明快なリズムをベースにしながらも、いくつもの旋律が同時に絡み合う構成になっているので、エレクトーンで忠実に演奏するにはハードルが高いと感じます。
せっかく弾かせてもらうなら、一見目立たない要素までじっくり紐解き、それらが配置された意味を考え抜いて音にしたいもの。悩みどころはたくさんありましたが、最終的には我ながら効果的にまとめられたと思えましたし、作者にも満足してもらうことができました。
プレス発表は、小田急箱根ホールディングスの本社会議室でおこなわれました。ニュースでよく見るような、記者がカメラやビデオを構えて並ぶ様子は、独特の威圧感があります。
社長から企画の概要や災害で不通になっている登山鉄道の復旧状況などが説明され、続いてテーマ曲の発表を生演奏でとなったわけですが、「ザ・記者会見!」という空気の中で音楽を奏でるのは、けっこうな勇気を要しました。
でも、演奏が始まってしまえば、もう音楽の世界。カメラやペンを握りしめていた記者たちも、さわやかなひとときを過ごしてくれたのではないかと思います。
私はあくまでオーケストラ役ですので、ピットの楽員のように、控えめに振舞いました。富貴作品の魅力を存分に伝えるという役目をじゅうぶんに果たせたという歓びの中、個人的にはエレクトーンをどのように受け止めてくれたのかなと気になるところですが、それはまた次の機会ということで。
そして、ロマンスカーで東京へ戻る途中、中井智彦の事務所に立ち寄り、秋に予定しているふたり舞台の打ち合わせを。お互いに培ってきたものを、真正面からぶつけ合って、ミュージカルとも芝居ともコンサートともくくれない、新しいステージを作ります。こちらもご期待ください。
私の次の演奏機会は、5月9日の東京文化会館大ホールです。日々状況は変化しますが、幕は上がると想定した準備を進めてまいります。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。
5月9日のリサイタルは楽しみですが、現状を考えると無謀な決断ではないでしょうか?明日、一月間の緊急事態宣言が発布されると、あけるのが5月7日で、リサイタルが9日です。お気持ちは十分に理解できますが、是非、冷静なるご判断をお願い致します。