播州の熱き心の人たち

都心もすっかり雪景色になりました。いつもの大都会特有のノイズが軽減され、まるで何十年か時をさかのぼったかのような静けさ。寒いけれど、この落ち着いた空気は好きです。

さて、1月28日に渋谷でのコンサートを終えた後、10日ほど楽器から離れ、西日本の各地を訪ねて来ました。観光ではなく、今後のコンサートの打ち合わせが目的ですが、どの街でも歓迎してくれ、人とのふれあいに心満たされる日々でした。中でもとりわけ印象深かったのが、姫路労音を訪ねた日のことです。

昨年9月に開催された東京の労音コンサートが、今、次々と新しいご縁を紡いでくれています。一番早く手を挙げてくれたのが、姫路労音の皆さん。関係の深い山陽の各労音も続き、まずは4月に3回のコンサートが決まりました。私は今、専属のマネジャーを付けていないので、コンサートに際しては、一部の公演を除き、演奏以外の一切も自分でやらなければなりません。それには手間も時間も要しますが、結局自分ですべてを把握していないと気が済まないので、どうにかこのスタイルでやっています。

私の公演を主催して下さる方々は、まずエレクトーンコンサートの経験はお持ちでありません。楽器の手配はどうしたらいいのか、舞台設営にどの程度時間が必要なのか、音響はどうかなど、わからないことだらけです。

これらはメールや電話のやり取りでも解決できますが、多数の公演企画が同時進行していますので、話がどこまで済んだのかがわからなくなってしまうことがあります。

そのため、可能な限り現地を訪ね、一度でほぼすべてのことをご理解いただけるようにしています。やはり顔を合わせれば話も弾みますし、互いの思いも一層深く理解し合えて、一石二鳥です。

今回姫路を訪ねたのも、主目的は4月の公演に関する打ち合わせでしたが、せっかくなので交流会をとのご提案をいただき、打ち合わせを済ませてから事務所にお伺いする約束をしました。

いざ事務所にお邪魔すると、私が思い描いていたよりもずっと多くの方々が待ち構えていて、一同で楽しそうに歌を歌いながら出迎えてくれました。まるで歴史の長い劇団のメンバーたちのように、全員でひとつの家族なのでしょう。

中に入ると、テーブルを埋め尽くす手料理の数々に目を奪われました。美しく盛り付けられた箱寿司、温かい湯気をあげるおでん、色鮮やかな野菜などなど、なんだか誕生日会を先取りしたような気分。「ペットボトルのお茶しかありませんが」と恐縮されましたが、下戸の私にはかえって好都合。これなら会話も楽しくなりそうです。

駆け付けてくれたのは、姫路からだけではなく、三木や宍粟など少し離れたところの方々も。皆さんの愛情がたっぷり注がれた料理を心置きなく味わい、たちまち打ち解けた雰囲気に。労音の方々が掲げる「よい音楽を安く多くの皆さんへ」との思いにも、強く共感しました。

会の後半には、集まった皆さんに対して、私から30分ほどの話をとのご依頼を受けました。初めて主催するエレクトーンのコンサートに、戸惑いや不安も少なからずあるはずですから、皆さんに自信を持ってお誘い合わせいただけるよう、私の演奏会に向ける思いを率直に語らせていただきました。このようなスピーチの機会を用意して下さったことにも感謝しています。

そして帰り際にも、再度皆さんから盛大な歌のプレゼントが。なんだか皆さんの代表としてオリンピックに出場するかのような特別な気持ちになりました。これはもう4月のコンサートで最高の演奏をすることで報いる他ありません。

山陽道労音のコンサートに関する詳細は、改めてご案内いたしますが、日時と会場を一足早くお知らせいたします。ぜひ春のご予定に組み入れて下さい。

4月24日(木)18:30 姫路市文化センター 小ホール(493席)兵庫県
4月25日(金)19:00 三木市文化会館 小ホール(537席)兵庫県
4月26日(土)14:00 宇部市文化会館 文化ホール(496席)山口県

このコンサートでは、文化堂さん、イトオ楽器さんのご協力により、新しいエレクトーンを使って演奏する予定です。格段に美しくなったエレクトーンの音色を、いち早く体験して下さい。