2014.03.21(金) 一個人的交響楽 日本演奏家神田将双排琴独奏音楽会

引き続き上海公演のお知らせです。ずいぶんと長いタイトルですが、簡単に訳すと、日本の神田将エレクトーンひとりオーケストラコンサートです。双排琴とは二段鍵盤。中国ではテレビ番組にもエレクトーンが頻繁に登場するので、あんがい日本よりも実像が正しく知られているかもしれません。

3月21日に開催のコンサートは、上海城市劇院が会場です。2012年にもこの劇場で芸術課堂という音楽普及のための市民向け公演に参加しましたが、ソロコンサートは初めてです。

城市劇院では音楽普及にたいへん力を注いでいて、今回のコンサートも「CM2014城市楽章」という、年間に渡り室内楽系のコンサートを展開するシリーズの一環です。

座席数は約1,100席。真っ赤なシートが華やかな大ホールです。ロケーションは上海中心街から少し離れたベッドタウンですが、地下鉄で気軽にアクセスできる好立地。東京に例えると武蔵野のようなところでしょうか。

先日、このコンサートに寄せる思いについて取材があり、次のように述べました。

「私は中国、特に上海で演奏することが大好きです。2009年に初めて上海国際芸術祭に出演した時、上海のお客様は、中国で有名でもなく、かつ不思議な楽器を演奏する私のことを、とても温かく迎えてくれました。

演奏会では、最初のうちは不思議そうにステージを見ていたお客様が、次第にのめり込むようになり、劇場を後にする時にはとても幸せそうな表情になっていたのが印象的でした。

以来、私は上海での演奏を熱望し続けており、中国の音楽仲間の応援によって、数々の素晴らしい演奏機会を与えてもらっています。今回のコンサートも、皆さんが努力を重ねて実現してくれた貴重な機会です。

私が演奏会に集まって下さるお客様にお伝えしたいのは、音楽の素晴らしさです。プログラムには、軽快で楽しい作品から、息をのむ壮大な曲まで、中国の皆さんの好みに合うものを選びました。それは、一部をのぞいでほとんどが、私にとって中国で初めて演奏する作品です。

指揮者であると同時に演奏者でなければならなという、世界で最も複雑でリスクの高い楽器を演奏する様子に、皆さんは大きな興味を持って下さることでしょう。しかし、私の真の目標は、私自身を皆さんの記憶に留めることではなく、素晴らしい音楽の余韻が、皆さんの人生を豊かに彩ってくれることです。

そして、朋友趙磊による二胡とのアンサンブルにもご注目下さい。音楽がすべての境界を超えて融け合うということを、実感して頂けるはずです。

私はこのコンサートの当日が待ち遠しくて仕方ありません。ぜひ満員の賑わいで迎えて下さい。必ず満足してもらえる演奏をします。」

一個人的交響楽 日本演奏家神田将双排琴独奏音楽会

日時:2014年3月21日(金) 19:30開演

ゲスト出演:趙磊[二胡]

会場:上海城市劇院
上海闵行区都市路4889号 最寄駅は地下鉄1号線莘荘駅(終点)
4889 Du Shi Lu XinZhuang, Min Hang Qu, Shanghai

チケット:80元 ご希望の方はメールでお問い合わせください。

3月23日に同劇場で開催される芸術課堂「スメタナとドボルザーク」にもゲスト出演して、新世界とモルダウを演奏します。

余談:昨日、東京文化会館でアメリカンバレエシアターの「マノン」を鑑賞してきました。フルオーケストラによるマスネの音楽も、舞台の美しさも、ダンサーの圧倒的な表現力や技術も、何もかもが素晴らしく、よい刺激になりました。

その最高の舞台にも増して印象的だったのが、カーテンコールの時に、プリマドンナがオーケストラピットに向かって、丁寧に長々と頭を下げて団員を労っていたことです。私がピットにいたなら、どんな苦労も報われた気がしただろうと思うと、胸が熱くなりました。