28日は新潟延命寺での「寺」コンサート。そして翌29日は新潟市立山の下小学校を訪ね、子どもたちに演奏を披露してきました。
新潟での演奏会は今年2回目。7月のリサイタルでは、スケールの大きな作品を中心にしたソロと、清水理恵さんをゲストにお迎えしてのアンサンブルをお届けしましたので、「寺」コンサートでは、親しみやすいショートピースや、やさしい感じの曲を選びました。
当日の天気は、まさに狐の嫁入り。はっきりしない天候にお客様の出足が気になりましたが、早いお客様は開場の1時間以上前にお出ましに。開演時には、本堂が活気に包まれ、朝来た時は寒いくらいだったのに、暑くなりました。
エレクトーンを中心に、三方を囲むようにしてお客様が並び、正面には仏様。まさに四方から視線を感じ、まるで逃げ場も死角もない環境です。このような雰囲気や距離感には慣れているはずなのに、最初はずいぶんと緊張しました。
マイクの調子が悪く、トークは地声で。お坊さんのように、よく響いて通る声ではないので、お客様には聞き苦しいのではないかと気にしながら。それでも、問いかけに頷いたり、下手な冗談にも笑ってくださったりと、付き合いのいいお客様ばかり。それに救われて、演奏の調子もだんだんとよくなっていきました。
楽しい演奏会はあっという間に終わってしまいます。やはりお寺だからでしょうか、皆さんとてもやわらかく、なんとも言えないステキな表情になってお帰りになりました。「延命寺に来て、音楽を聞かせてもらって、ホントに寿命が延びました~」と、嬉しそうに私の手を握るおばあちゃん、次回も元気な姿を見せてくれそうです。
翌日、山の下小学校での演奏会は、授業の時間を割いて設けてくれました。お寺で使ったエレクトーンを体育館に移し、フロアに設置。リハーサルをして驚いたのは、残響の深さ。推定4秒というリッチな響きで、何を弾いても上手に聞こえちゃうという環境です。
こちらの小学校にはマリンキッズという吹奏楽団があり、全校児童の1割以上が入団しているとのこと。それだけ音楽には親しみがあるわけですね。クラシックをメインに、華やかな曲、きれいな曲、楽しい曲と、いろいろな表情を聞いてもらいました。
音楽とのふれあいは、子どもにとってたいへん有意義です。それに、私たち演奏家にとっても、大きなヒントとモチベーションを与えてくれる素晴らしい機会。なのに、どんどん予算が削減されて、ここ新潟市ではとうとうカットされてしまったそうです。それでも私はいつでもどこへでも飛んでいって子どもたちと音楽を分かち合いたいと思っています。
3日間の新潟で、いろいろな人と新たに出会いましたし、各地から集まってくださった方々との再会もあり、心満たされる旅となりました。さあ、今夜はタクト音楽祭。これから自分の稽古を固めて、東洋館へ向かいます。