フレッシュサウンドコンサート

tuttiの会フレッシュサウンドコンサートに出演するため、千葉県は酒々井へ。都心からじゅうぶんに日帰りできる距離ですが、時間を気にせずリハーサルするためと、ちょっとした秋の小旅行を兼ねて泊まり掛けで行ってきました。

今回、私はソロのゲスト演奏に加え、ふたりのtuttiメンバーのお相手を努めます。

ひとつはチャイコフスキーのピアノ協奏曲。実は私、ピアノパートは弾いたことがありますが、オーケストラの方は初めてなので、2ヶ月掛けて準備をしました。

もうひとつは歌とともに。日本語、イタリア語、英語と、それぞれに雰囲気や持ち味の違う作品が3曲選ばれ、特徴を活かした音作りを心掛けてみました。

このふたりとは前日にじっくりとリハーサルを。その合間にも、チケットの問い合わせに応じたり、受付や進行の準備をしたりと、スタッフとしての役割までこなす様子からも、手作り感のある温かい演奏会だなと感じます。

リハーサルの後は空港近くのホテルでひとりディナーを満喫。お江戸は魚河岸の引越しでてんやわんやですが、ここ成田のネタはどこから来るのかなと思いつつ鮨膳を。お江戸とは一味違う寿司でした。

当日は仕込みの時間から会場入り。その直前に好田タクトさんからメールがあり、時間ができたので聞きに行くからチケットをお願いしますとのこと。残念!もう売り切れなんですよね。

でも、せっかく来てくれるというのに断るのも申しわけない。そうだ、ステージに乗ってもらおう!

ということで、「出ません?」とメールすると、直ちに「出ます!出ます!」と色好い返信。こうして急遽飛び入り参加が決まりました。私のゲストタイムの曲目を調整してタクトさんの時間を捻出。リハーサルは出来ませんが、お互い臨機応変、どうにかなるでしょう。

午前中はランスルーのリハーサル。各出演者の名前、顔、演奏曲が把握でき、有意義な時間です。ピアノソロ、ヴァイオリン、歌、コンチェルト、マリンバ、サクソフォンカルテットと、楽器や編成も盛りだくさん。

曲目もクラシックをメインに、アニメソングや異国情緒のある作品など、バラエティに富んでいて、まさにガラコンサートの趣きです。

出演者たちは地元では名の知れた演奏家たち。tutti入会の時期や年齢差はあっても、会として24年の歴史があるので、その演奏や内容の充実度は相当なものです。それでいて、皆さん勉強熱心で努力家。この雰囲気が、周りから愛され応援してもらえる理由なんだと思います。

開場時間には長い列ができ、開演までにすべての席が埋まりました。ホールエントランスでは、出演者たちがドレス姿でお客様をお出迎え。お客様とのコミュニケーションをとことん大切にしています。

主宰の新谷恵子先生の挨拶に始まり、ベートヴェンのソナタが響き渡ると、会場は音楽の世界に。お客様は演目ごとに気分を変え、リラックスしたり聞き入ったり、それぞれに音楽を満喫していました。

子どもが2割ほど来てくれていたにもかかわらず、みんな静かに聞いていたのも印象的でした。小さい時から生演奏に触れるのは、とても大切なことだと思います。

私のゲストタイムも、タクトさんの思いがけない乱入で、大爆笑とともにクライマックス。お客様と楽しいひとときを共有でき、私も思い切り笑いました。

この日は、私にとって約2ヶ月ぶりのステージ。演奏家になって以来、2ヶ月も間を空けたことはありませんので、この日が本当に待ち遠しかったです。

第一の感想は、演奏ってこんなに疲れるものだっけ?という感じ。体力が落ちているからだと思いますが、最盛期はこれを年間230回もやっていたのですから我ながら驚きです。

打ち上げで出演者の笑顔を眺め、ひと足先に帰途に着きました。一度、成田空港に行き、速い電車でスーッと都心へ。海外から戻った人、これから日本を楽しもうと訪れた人、車内は旅のテンションに満ちています。その片隅で私はフグの毒にやられたみたいに体を痺れさせ小さくなっていました。でも、幸せ。気持ちのいい演奏会でしたから。

次回、私の出番は20日の浅草名流祭、28日新潟延命寺コンサート、31日浅草タクト音楽祭と続きます。まもなく来年3月1日東京文化会館リサイタルの予約も始まります。

tuttiの会は来年で25周年。記念コンサートにご期待ください。