埼玉音鑑 第453回例会

7月29日(日)は、労音・埼玉音鑑の例会で演奏しました。埼玉音鑑は、1966年に創立されて以来、453回もコンサートを開いているというから驚き。私が生まれる前から音楽が続いていると思うと、感慨深いものがあります。その歴史の1ページに加えていただき、とても光栄です。

会場は蕨駅から近い蕨市文化ホール「くるる」。かわいい名前ですね。タワーマンションの一角に設けられた新しい感じの施設で、ホールのキャパシティは135席とコンパクト。ステージはフラットで一番低いところにあり、客席が階段状に高くなっていくという造りなので、演奏する手足がよく見えます。客席とステージの距離感もちょうどよく、オールSS席です。

今回は新しいスピーカーをおろしました。非常にクリアで細かい表現も鋭敏に反映され、最初はちょっと戸惑いましたが、慣れてきたら本当に気分よく弾けました。電子楽器にとってスピーカーは非常に重要です。どんなに素晴らしいエンジンを積んだ車を、どんなに優秀なドライバーが操っても、タイヤがなければ走れません。その上、ただ備わっていればいいというわけでなく、F1同様、わずかなコンディションの狂いが成果を大きく左右するのです。

今回は正味120分の演奏プログラムを組みました。130席の空間には重いかなと思わないでもありませんでしたが、新潟や鹿児島とリンクさせることで、少しでも脂の乗った演奏を聴いていただこうと考えました。

定刻通りに開演し、ベートーヴェンの交響曲第5番からスタート。初めてエレクトーンの演奏に触れるお客様からも、驚きと興奮が伝わってきます。小さなホールならではの一体感に包まれながら、前半8作品を演奏。大抵ステージは灼熱地獄と相場は決まっていますが、今回はさすがに厳しいかったです。指にも汗が吹き出し、だんだんとタキシードが重くなっていく感じ。東京でヤマハが用意してくれる楽器は常にベストコンディションなのですが、この日は私の生理がコンディションを悪くしていました。かといって、この空間で冷房を強めると、お客様がしんどいです。

それでも演奏は絶好調です。霧島で雷に打たれるような刺激を得て、それが早速演奏に生きているという感じ。第2部の60分もあっという間に終わりました。アンコールを終えて楽屋に戻り、ふとステージモニターを見るとお客様がエレクトーンを取り囲んで、興味深げに観察していらっしゃいました。どのように弾いているか、公演中にも簡単に説明はするのですが、やはり不思議なんでしょうね。このように興味をもっていただけるのは、とても嬉しいです。

主催者の皆さんにも喜んでもらえました。昨年、演奏会を見に来てくださった際に、「うちは小さな組織だから、とてもお呼びできない」とおっしゃっていたのですが、であればむしろ聞いていただきたいので、遠慮なく声を掛けてほしいとお伝えしたところ、今回の演奏会が実現しました。音楽を聞きたいと熱望している人がいるのなら、どこにでもまいります。そしてそこで得られる新しい出会いから、私は自分が生きる意味を教えてもらっているのです。

One thought on “埼玉音鑑 第453回例会”

  1.  29日の例会では大変お世話になり、ありがとうございました!
     佐野音鑑で聴かせて頂いた私もオープニングの「第九」で度肝を抜かれました!
    今回もまさに“目を閉じればそこにはオーケストラが”の世界に、聴いた方全てが驚きと
    感動・歓喜の2時間を頂きました。
     お疲れのところ、さっそくブログに載せて頂きましてありがとうございます。
    このブログのことは8月1日の「くるる:ホール抽選会」に参加していた私に、コンサートを聴いた友人がプリントしたものを届けてくれたおかげで知りました。
     改めましてお礼申し上げます。またお目にかかれる日を楽しみにしております。
    ますますのご活躍を心よりご祈念申し上げます。  ~♪ 埼玉音鑑 ♪~

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