リサイタル前夜

今年の東京リサイタルが明日に迫りました。今回も多くの皆さまに関心を寄せていただき、心より感謝いたします。この一週間はほとんど外出をせず、エレクトーンとデスクばかりを往復しながら、細かい準備を重ねてきました。どんなに時間と労力を注いでも、これでよしということは決してなく、何か大切なことを見落としていないかと不安ばかりが募ります。チェック機能がないこと、コミュニケーション不足で精神的にやや参っていることなど、単独作業の難点に見事に当てはまっています。

よい演奏をすることは、最大の目標のひとつですが、実際にはそれは私の役割のほんの一部でしかありません。ただただよい演奏を聞きたいとお考えなら、他にもっと素晴らしい演奏会が無数にありますので、あえて私の演奏会にお出かけくださるお客様は、よい作品を楽しむことに加え、何か別の部分でも満たされることを期待していらっしゃるように思います。今さらですが、それが最近やっとわかってきました。

そしてこれまた今さらですが、オペラ歌手のお供を務める前に、大きな管弦楽作品を演奏するのが、これほどプレッシャーだとは想像できませんでした。思い返してみると、サイさんとは何度も共演してきたものの、共演と同時にソロをじっくり演奏するのは初めての経験です。オペラ歌手のお供は、ソロに比べると不確定要素が圧倒的に多く、高度な集中力が必要です。当然ソロにも集中力が要りますが、それぞれ性質が違うので、切り替えができるかどうか心配。まぁ、明日の夕方には、その結果が出ていますね。

リサイタルには、全国に散らばっている元弟子たちが集合します。最近は会うチャンスもあまりありませんが、成長したみんなの顔を見られるのがうれしいです。リサイタルが終われば、すぐに加古川でのピアノ協奏曲と第九が待っています。この数日でクラシック作品の傑作中の傑作をいくつも演奏できるなんて、本当に幸せ。思う存分楽しませていただきます。

2月10日14:00

神田将リサイタル2018「愛の調べ」スペシャルゲスト:サイ・イエングアン

【演奏曲目】

第1部 エレクトーン独奏
サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」“あなたの声に私の心は開く”
R.シュトラウス:楽劇「サロメ」 ”七つのヴェールの踊り”
チャイコフスキー:交響曲 第6番 「悲愴」第4楽章
スメタナ:交響詩「我が祖国」 ”モルダウ”
第2部 サイ・イエングアンを迎えて
サミー・フェイン:慕情
サルトーリ:タイム・トゥ・セイ・グッバイ
初恋:石川啄木 作詞 越谷達之助 作曲
宵待草:竹久夢二 作詞 多忠亮 作曲
うもれ火:北峰聖 作詞 宮本あんり 作曲
ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」“月に寄せる歌”
プッチーニ:歌劇「トスカ」“歌に生き、愛に生き”
グノー:歌劇「ファウスト」“宝石の歌”