キッカケはボクサーパンツ

今日は大阪にいます。
約束ごとも少なく、午前中と夜にアポイントがあるだけなので、午後は自分のための時間をたっぷりもつことができました。

昨日はのどを酷使しましたが、今日はさほど熱を入れて話す必要もなく、のどにとっては休息日です。
たぶん、今日会う人たちは、現実通り「無口な人」という印象を持ったことでしょう。
単に「しゃべらない」のではなく、理想は「余計なことを言わない」です。

午後はたっぷり時間をとって、ひたすら泳いできました。
ゴールを定めず、「いけるところまでいく」みたいな感じで何度もターンを繰り返します。
苦しくなってきてからが、むしろ楽しくなってきます。

そして、最大に苦しくなってきた頃、頭の中でラフマニノフのシンフォニックダンスの終楽章が鳴り響き、フィナーレととともにゴールにします。
ラフマニノフが描いた万死の苦しみとその向こうの恍惚には遠く及びませんが、現実の日常でそれを、擬似的にであろうとも体感する機会は多くありません。
おそらく、次に舞台でこの曲を演奏する時には、岸が見えずにおぼれ死のうとしている自分が思い浮かぶでしょう。

泳いだプールは滞在中のホテルにあります。
屋内プールが利用できるホテルは大都市ならばたくさんありますが、それが宿泊客専用であるのはむしろまれで、大抵は会員制のクラブとして運営されています。
それを宿泊客としてビジター利用させてもらうのです。
今回もそんなパターンでした。

ホテルの会員制クラブですから、メンバーは名士ばかり。
おそらくご自身で会社を経営なさっているとか、お医者様や弁護士さんなどが多いようです。
となると、おのずと年齢層は高くなりますよね。
私も若くはありませんが、このおじさんたちにまじると、ただの鼻たれ小僧です。

スイミングを終えて、サウナでひと汗。
そのサウナ内では、おじさんたちが景気の動向や地域のできごとについて情報交換しています。
それに耳を傾けていると、ものごとの判断や解釈の仕方についてとてもいい勉強になり、私にとっては塾のようなものです。

ロッカールームに戻って着替えをしていた時、ジェントルなおじさんに声をかけられました。
「東京から来はったんか?」って。
「はい」と答えながら、なぜわかったのか不思議に思いましたが、そのジェントルおじさんの視線で理由がわかりました。
私のパンツの尻に思いっきり「TOKYO」とプリントしてあるんです。
それはこちら。
先日、加寿美さんにほめていただいたラベンダー色のセーターとよく合う、これまたラベンダー色です。(って、どんなコオーディネート?)

その方は大阪で病院の院長をしていらっしゃるそうです。
職業を聞かれたので自己紹介をすると、興味を持ってくれたらしく、メンバー専用のラウンジでお茶をご馳走してくださることになりました。

そこでの話題は、お互いの視点から最近見た、ありふれた日常のこと。
でも、立場も年齢も地域も違い、むしろ共通点を探す方が難しいような方との会話はとても刺激的でした。

パンツがとりもった、旅先での縁の話でした。

夕食はルームサービスでヘルシーディッシュを。