2010.6.10に話題にした「ホテルのグルメバーガー」が、予想外の反響を呼んだので、今回はその番外編として「ロッシーニ・バーガー」をご紹介します。
ロッシーニは、最も多くのオペラを書いたイタリアの作曲家で、当時は大衆の人気者であったばかりでなく、ベートーベンやショパンといった芸術家からも尊敬されていたそうです。
「セビリアの理髪師」や「ウィリアム・テル」など、軽快で楽しい作品がよく知られている一方、私も大好きな「スターバト・マーテル」のような重厚なコンサート用宗教曲も書いており、どちらかというと後者の方が「偉大な作曲家・ロッシーニ」らしいと私は思っています。
ロッシーニが現役を退いたのは44歳の時。私自身に当てはめると、私にはあと1年しか時間が残っていないことになりますが、もう少し音楽の世界に生きていたいので、ここには共通点は見出せません。
ところが、ロッシーニは当時から類稀な美食家として知られ、引退後は高級サロンや高級レストランの経営にも頭角を現しました。私のグルメ具合など、ロッシーニの足元にも及びませんが、いずれ高級店でも営んでみたいという思いだけは、どこか重なる気がします。
さて、時折レストランで見かける「ロッシーニ風」という添え書き。これは牛フィレ・フォアグラ・トリュフの三点セットを指すことが多いようです。実際、この取り合わせは大変相性がよく、濃厚な味と芳醇な香りが大地の実りを彷彿とさせます。
今回ご紹介する「ロッシーニ・バーガー」は、ヒルトン東京の「マーブルラウンジ」の名物料理のひとつ。粗くチョップされた牛肉に、ソテーしたフォアグラとトリュフのスライスを載せ、別に添えられたトリュフ入りのデミグラスソースをたっぷり掛けて食べます。
バンズもバターが効いていて、かなりリッチな味わい。これを敢えて両手でつかんでガブリといくのも悪くありませんが、せっかくのフォアグラやトリュフがツルリと落ちるので、ここはナイフ・フォークで行儀よく召し上がって下さい。
フレンチフライは通常のバーガーと同じですが、整然と並べてあるところが、グルメバーガーの王様らしさを感じさせます。
お値段は4,785円。その価値は十分にありました。