今日は母の他、数人の親族とともに彼岸会の墓参に行ってきました。母と会うのは地震後初めて。電話では何度か話をしましたが、実際に顔を合わせるとやっぱり安心します。
墓は東京のはずれにあり、もう目の前には山々の裾が迫っています。長い階段をのぼりつめた先にある墓からは、やさしい山肌と人里が見え、ここに眠る先祖にとっても寂しくない眺めです。
最近は、公演と重なって定例の墓参に参加できずにいたので、ここに来るのは久しぶり。もう少しすれば春の花々が咲き出すのでしょうが、今はまだ冬の景色を留めているように見えました。
同じように墓参に訪れている人たちと、長い階段の途中ですれ違う度に、互いに声を掛け合い、軽い挨拶を交わすのですが、なんだかいつもよりふれあいの度合いが高いような印象を受けました。
互いに見ず知らずの者どうしが、わずかな接点を求めあい、そこにいつもより少しばかり多めに思い入れを注いでいる。そんな光景に触れながら、さわやかな心地よさを感じました。
此岸の迷いは常に私をがっちりと掴んで離しませんが、それでも日々縛りあげられている感覚が、今少し緩んでいるような気がするのは、私だけではないと感じています。
墓参の後は、家族だけでの誕生会。ごちそうを食べるより、気楽にさりげなく過ごしたいと思い、洋食屋さんに入りました。私は好物の蟹クリームコロッケを、母たちはオムライスを注文していました。
明石のリサイタルがどうだったかを報告すると、みんなとても喜んでいました。顔を合わせる機会の少ない家族ですが、私の音楽をもしっかり支えてくれているのだと実感する、ささやかな誕生会でした。