日本料理を味わう時、どんな飲みものを合わせるか。好みは人それぞれですが、近頃は日本酒や焼酎のみならず、ワインの品揃えが充実している日本料理店が増えて来ました。旬の日本料理と日本国内で生産されたワイン。その響きだけでも、相性抜群のイメージが膨らみます。
パークハイアットの40階にある日本料理店「梢」は、ホテル全体に貫かれる共通のデザインが施されながらも、随所に和の趣きが感じられるハイセンスな店です。
素敵なのはインテリアだけでなく、食卓を彩る器や、スタッフの振舞いなど、隅々に行き届いた感性。そして、肝心な料理も実に優れており、この店を訪れれば「食を五感で体験する」という実感が味わえます。
テーブルにつくと、顔馴染みのマネジャーがプロモーションの案内を持って紹介に来ました。
「新世代の国産ワインと春の料理」と題したプロモーションでは、長野県にある新進気鋭のふたつのワイナリーから届いたワインと、日本料理との出会いを演出しているとのこと。
ふたつのワイナリーの名は、「はすみふぁーむ」と「リュードヴァン」。長野県は上田と小諸の間、東御市にあって、互いにお隣同士の間柄だそうです。
リュードヴァン?・・・聞いた名前だなと思ったら、昨晩、ひとり晩酌をしたのがリュードヴァンのシードルだったのです。
このシードルは友人から分けてもらったもの。飲んだら感想を聞かせてねと言われているので、しっかり心して飲みました。
見た目は半濁したシャンパン色。香りはとてもフルーティーです。口当たりの泡感は力強く、リンゴの風味が濃厚ですが、かなりドライ。とてもオトナ味のシードルです。シードルのイメージの幅がぐっと広がりました。
アルコール度は高くないので、アウトドアアクティビティや、コンサート後の打ち上げにもぴったりだと思います。
このシードルの造り手によるワイン。こうしてまたすぐに巡り会ったのですから、ぜひ味わってみなければ。私はシャルドネ派なので、両ワイナリーのシャルドネをバイザグラスで飲み比べることにしました。
「はすみふぁーむ」のは、ミネラル感があってスッキリとフレッシュ。「リュードヴァン」のは、ふくよかでリッチなニュアンスがありながら、切れ味が感じられます。近所のワイナリーでも、これほど個性が際立つものかと驚きました。
さて、料理はというと、最も手ごろなプライスの二段弁当「梢」(5,280円)を選びました。まずは先付の蓬胡麻豆腐。
吸物椀は新水雲仕立て姫皮真薯。
そして二段の重が運ばれてきます。
風呂敷で包まれているように見えますが、実はティーコージーのように、すっぽりとかぶさっているだけなので、簡単に外せます。開いて並べるとこんな感じです。
手間暇掛けた料理の数々。見た目にも美しく、季節感に溢れています。富士型に載っているのは初かつお。
賑やかな口取は芸術的です。
甘味は葉巻のような見た目ですが、最中。中にはトマトのアイスクリームが入っていました。
いつもなら外国人の方が多いくらいのパークハイアットですが、今は日本のお客ばかりです。まだかつての賑わいには程遠いとのことですが、日本人のお客に限っていえば、以前よりも増えているのだとか。
東京でも別格のサービスとクオリティを誇るパークハイアット東京。東京の憧れとしていつも輝き続けてほしいものです。