盛岡市内の滞在はおよそ9ヶ月ぶり。街並みにほとんど変化はなく、違っているのは季節だけのように感じられます。
強い風が吹いた翌朝、太陽はひときわ眩しく輝いていました。午前中はフリーだったので、盛岡城跡公園を中心に、ゆっくりとゆっくりと歩きながら、聞こえてくる音たちに耳を澄ましました。
池では鴨が首をうずめて寝入っており、手が触れるほどに近寄っても起きません。春眠暁をおぼえずといったところでしょうか。
池のほとりを歩くと、わずかな水音が聞こえて来ます。その源を探ると、無数のおたまじゃくしたちが短い尾を揺らし、微細な波を立てていました。
藤棚では春先の桜のように、花びらが風に舞っています。ここで聞こえたのは、熊蜂の羽音。ブーンと低くうなるような音は、ちょっと恐怖心を煽りますが、蜂たちも残りの蜜をせっせとすすっているのでしょう。
道路からも近い場所なのに、不思議なほど細やかな音が耳に入ってくる、安らぎの場所でした。
ランチは有名なそば店「東家」本店で。この店のある通りには、雰囲気のある古民家風の建物が多く、散策にもよさそうです。
店内には、無数の招き猫や訪れた有名人のサインが展示されていて、そばを待つ間にも飽きることがありませんでした。わんこそばの店なのににゃんこなんですね。
そのわんこそばにチャレンジしたい気もしましたが、手打ちの天ぷらそばをチョイス。とても美味しかったです。
午後からは明日の演奏会準備のため、姫神ホールへ。市の中心部から車で30分ほどのところにありますが、途中に見える新緑が実に青々と美しく、心が洗われるようでした。
ホールも木々や水田に囲まれた自然の恵みに満ちた環境にあります。裏手には岩手山が見えますが、この時はちょっとガスが掛かっていましたので、代わりに水田に向けてシャッターを切りました。
大きく広がる空の青さは、新緑にも負けない鮮やかさ。これぞ岩手の青。忘れられない色です。
ホールが使われるのは地震後初めてとのこと。すでに修復も終わり、点検も済ませたそうです。ホール内でセッティングとリハーサルを終え、ふたたびグリーンロードを通りながら、市の中心部へ戻りました。
夕食は軽くと思いながらも、演奏会に備えてやっぱりステーキ。岩手牛専門店の「パイオニア牧場」を訪ねました。
ヒュッテ風の店内は、初めてなのに懐かしい雰囲気。牛肉はいくつかの種類が用意されていますが、今回トライしたのは「いわて短角牛」のサーロイン。脂身が少なくヘルシーだと聞いていましたが、とてもふっくらジューシーで味わい深さがありました。
美味しいものがたくさんあって、美しい風景に恵まれた岩手。明日も、この青い空に響き渡るように、思い切り演奏します。