和歌山で稽古の日曜日。月に一度の宮井楽器エレクトーン特別レッスンです。大阪から和歌山に向かう特急列車の窓から見る景色は、明るい日差しに包まれ、暖かそうでした。
今回の受講生は10名。前月に伝えた課題の進捗も順調で、これでまた次なる課題へとステップアップできます。それにつれ、要求が高度になり、受講生にはどんどん負荷が掛かりますが、この苦境を乗り越え、飛躍に結び付けて欲しいもの。やや欠けているのが基礎トレーニングです。
多くの人が普遍的なテクニックを磨くための基礎練習を退屈なものだととらえがちですが、これを怠れば、結局あとで思わぬ壁に当たることになります。
作品に対する理解が不足していたり、音色や機能で弱点をカバーしただけの仕上げ方では、実力が身に付かないことはわかっていても、なかなか基礎練習に目が向かない人が多いのはなぜでしょう。
たいていの場合、絶対的に時間が足りないと言います。でも、年間何十種類ものコンクールに出ているのでない限り、時間が足りないはずはないと私は思います。
それは単に、要領が悪いのです。時間が足りないと感じている人は、稽古の効率についてよく考え直してみて下さい。
まず、稽古に入る前に、今からどれだけ時間があるのかによって、その時の目標を決めます。何度かそれを繰り返しているうちに、自分の効率が見えて来ますので、次第に効率以上の負荷を掛けて、タイムリミットを気にしながら、緊張感を持って楽器に向かうようにします。
ある程度曲が仕上がったら、「よし次の回で、一音でもミスをしたら夕食はなし」という具合に、自分で罰ゲームを決め、本番以上の緊張感で弾いてみるのも効果的。実際に夕食を抜く必要はありませんが、そんなゲームをするだけでアドレナリンが出ますし、本番用の神経回路が構築されていくものなのです。
私はひとりで稽古している時も、大ホールで演奏している時も、同じ感覚で楽器に向かっています。稽古だからといって、気を抜くことはありません。だから、本番でもふだん通りに弾けるのだと思っています。
さて、ただいま私はCDでヴォーカルを聞いています。滅多に音楽は聞きませんので、とても珍しいことです。
和歌山にTONPEIさんというヴォーカリストがいます。自称オヤジシンガー。TONPEIさんを紅白に送り出す会が発足するほどの人気です。私は以前から面識があるのですが、その歌声を聞く機会がなかなかありませんでした。
今回、セカンドアルバムをリリースしたとのことで、1枚プレゼントしてもらったのを、今、聞いているというわけです。
ふだんのTONPEIさんのキャラを知っているので、甘く切ない歌声にギャップを感じずにはいられないのですが、歌は誰の心にもすっと溶け込んでくる感じでステキです。いつかライブハウスで共演なんてプランもありかもしれません。