新潟コールトゥッティの窓口になってくれている方の新築の家にお邪魔した時のこと。真新しく心地よいミュージックルームには、グランドピアノに並んでハモンドオルガンが置いてありました。
聞くと、30年以上も前の品だとか。現在、内部の重要な部品を修理中で、音を聞くことはできなかったのですが、重厚感と風格のあるデザインと雰囲気にすっかり魅了されました。
今のSTAGEAは、枠組みが金属製ですので、外観に温かみが感じられません。それがマッチする音楽もありますが、私が奏でる音楽にはいささか不釣り合いなのが悩みどころのひとつです。
一方、この古いハモンドオルガンは、音を聞くまでもなく、なんだか温かい感じがします。STAGEAの操作ボタンは画一的ですが、こちらはいろいろな形のボタンがあって、思わず触ってみたくなります。古いエレクトーンにも同様の温もりやワクワク感がありました。
ハモンドオルガンが奏でるのは、一貫してオルガンサウンドです。エレクトーンとハモンドオルガンは形もルーツもよく似ていますが、STAGEAに私が求めているものは、ハモンドオルガンにはありません。
かつて、とあるミュージシャンのレコーディングに参加した時のこと。私はもちろんSTAGEAを持ち込み、与えられた役割を担ったわけですが、その際、エンジニアの皆さんが、私のことを「ハモンドさん」と呼ぶのがとても嫌でした。
コンサートホールでも同様の呼び方をされたことが多々あり、いわゆる音楽の業界でエレクトーンの認知度はゼロに等しいと痛感しましたが、それはまだ数年前のことです。
エレクトーンに親しんでいる人や、それを実際に販売している方々は、エレクトーンの認知度はそれなりに高いと思っているようですが、私が各地のコンサートで受ける印象は、その正反対です。
実はまったく知られていないエレクトーンの真の魅力。音が鳴らなくなってさえ、圧倒的な存在感を醸すハモンドオルガンを目の前にしながら、もっとエレクトーンのことを広くしってもらわなければと思った次第です。
それはそうと、このハモンドオルガンが直ったら、ぜひ音を聞いてみたいものです。