クローズイベントとは、一般にチケットを販売せず、あらかじめ決まったお客様を対象にした催しです。このブログでも何度か話題にしましたが、学校での演奏会や、企業が主催するパーティでの演奏もこれに当たります。
私の年間スケジュールの内、こうしたクローズイベントの割合は、昨年まで80パーセント近くもありました。お客様が集まるかを心配する必要がないので、演奏に集中できるのが何よりのメリットです。
でも、昨年来、楽して弾き続けるのは好ましくないと自分で判断し、最近では特別な縁がない限りクローズイベントでの演奏を弾き受けていません。
大きな地震の後、真っ先にキャンセルが続いたのが企業のクローズイベント。にわかに空いた時間は、その後の方針や自分の在り方を考え直すチャンスとなりました。
限られた数の演奏会しかない日々は、なんだか落ち目になったような気がして、最初は耐え難い気分でしたが、国中が混乱する中、あえて演奏会を開催してくれた人たちと協力し合った時間は、それ以上の充実感を与えてくれました。
私のキャリアも、演奏会の数を重ねるだけではこれ以上豊かにならないと実感したのもこの頃です。
精一杯弾くからには、気持ちのよい演奏会に出たい。数が減って、それが収入源につながっても、心から打ち込める演奏会に出ていれば、いい気分で居続けられるに違いない。
それは間違っていませんでした。今年もやりがいのあるチャンスに恵まれ、弾く歓びを今まで以上に強く味わっています。
クローズイベントは、本当に私の演奏を求めてくれるものに限ることにした結果、嫌々弾くというストレスとも無縁になりました。
ひとつひとつの演奏機会を心待ちにしながら、常に本気で向かっていけるって、本当に幸せです。