「梅が咲きました」の知らせに、いざ散歩。活気あふれる東京の海沿いにある、浜離宮恩賜庭園を訪ねました。日曜日でも午前中はまだ人が少なく、都会のノイズとは無縁の穏やかな時間が流れています。
静けさと広々とした空。野鳥たちやふだん目立つこともない草や花。こうしたものを愛でにやって来ている人たちが、ちらほらいるだけ。会話もなく、視線すら合わせる機会はありませんが、美意識で繋がっているような。
梅の木は梅林に集められています。私が歩いた方向だと、連なる梅たちは、つぼみこそ膨らんでいても、開花の気配はありません。なんだガセかよ、とガッカリしながらも、こぼれる椿の花弁にうっとりしたり。
警戒心と好奇心がせめぎあう猫と出会ったり。
いよいよ梅林ロードもおしまいという地点に来たら、ひときわ真っ赤な花が青空に映えているではありませんか。
梅を見ると、祖母を思い出します。私の音楽をだれよりも応援してくれた人。ちょうど梅の季節に、花より先に散りました。
もっと羽ばたかなくちゃ。小さな散歩は、大海を渡る旅路にも勝る想いを湧きあがらせてくれました。