7月7日の七夕コンサートは、4月の名古屋以来、久しぶりの一般公開コンサート出演でした。夏の海のように、眩しくて爽やかなコンサートにしたいと願いながら準備を進めて迎えた当日は、思っていたことの半分くらいしか表現できませんでしたが、これまでとは違った手応えをつかんだような気がします。
このコンサートシリーズもかれこれ8年目。ベテラン構成作家の強力なサポートにより、たいへん魅力的なプログラムが編み出され、コンサートとは何なのか、どうあるべきなのかなど、回を重ねる毎にこの大きなテーマに一歩ずつ近づいてきました。
でも、演奏会当日を迎えるまでは演奏曲の準備に忙殺され、大切なことに目を向ける余裕がなかなか持てず、この演奏会に参加して得たものの大きさに気付くのは、いつでも会が終わった後です。
このシリーズでは、私はホスト役です。それは、構成台本をオーケストラスコアを解釈するのと同様の注意を持って熟読し、言葉では語られていない意図を理解しなければ務まりません。
特に難しいのは、演奏会全体の起承転結、とりわけクライマックスへ向けたエネルギー配分です。その点、オペラの全幕公演や長大なシンフォニーの演奏にも共通しますが、同一のテーマで書かれた作品を通して演奏するより、異なる持ち味の作品に関連性を与えながら進めなければならない分だけ困難です。
せっかくの完ぺきな台本も、その理解が浅かったり、本番での進行が不適切では台無し。そうはわかっていても、演奏と進行の双方を完ぺきにこなすには、私の能力を超えたスゴ技が必要です。
今回も、私は自分の無能さが情けなくなりました。まだまだ読みが甘いし、頭が回り切っていない。でも、一方でやっと見えて来たこともたくさんあります。
このシリーズは、まだまだ継続していくことでしょう。洒落たプログラムの裏で、私が悪戦苦闘しているところを眺めるというのも、このコンサートの隠れた楽しみ方のひとつ。ぜひ次回にもご期待下さい。