とある日のとある場所で、今井俊輔さん、中井智彦さんとのステージがありました。一昨年の三越で初めて顔を揃えて以来、三越のアンコール、ビルボードと機会を重ね、8月の茨木でやっぱりこのメンバーとラインナップは非常にいいと確信したわけですが、三越には佐渡寧子さん、茨木には菊池玲那という紅が入った華やぎがあり、一方で男三人というのも色っぽいものでして、さまざまなパターンでいけるのも自慢のひとつです。
茨木から今回までの間には、今井さんと神田のコンビに磨きを掛ける機会に恵まれ、それ以前に培った中井さんと神田の呼吸と同レベルに洗練されたことで、この三人のコラボは無敵の進化を遂げました。
何が一番変わったかと言いますと、それは私のゆとりです。つまり、経験を重ねて共演者との信頼関係が育まれたこと、どちらかとだけ慣れているというようなバランスを欠く要素がなくなったことが、演奏の余裕に大きく寄与すると判明しました。このふたりならもう何があっても怖くありません。
そして、今まで演奏の質を保つことに使っていた神経を、他の部分に向けられるようになり、今後ますます洗練を極めていけるだろうと思います。
こんな気分でステージを務められるのは、とても幸せです。またきっとこの組み合わせで、あるいはここに更なる華を加えたメンバーで、皆さまにお楽しみいただく機会があることでしょう。どうぞご期待ください。
写真:上田海斗